「パウエルFRB議長再任」との報道をキッカケに、先週は“金利選好→ドル買い”が強まりました。
パウエル議長も“ハト派”とされるものの、ブレイナードFRB理事は“さらに輪をかけて”とされる人物であるだけに、当然といえば当然の反応といえるかもしれません。
こうして週央には“115.517円”へと上値を伸ばしたわけですが、しかしながらこうした動きはそう長くは続きませんでした。
「新型コロナへの懸念」が、再びマーケットを席巻したからです。
「南アフリカで新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)を発見」
「高い感染力を持ち、従来ワクチンが効きにくい可能性あり」
ヘッドラインであり、信憑性のほどは定かではないものの、マーケットは“円買い+ドル売り”に舵を切りました。
“リスク回避→円買い”が広がったのはもちろんのこと、「テーパリングが最も遅いのは日本」との思惑を背景に積み上がった円売りポジションに“巻き戻し”が加わったからです。
さらに「米10年債利回り低下(1.69%→1.47%)」も目立ち、“金利志向→ドル売り”も並行しました。
こうしてダブルパンチ(トリプルパンチ?)となったドル円は、“113.054円”へと急落していきました。
もっともデルタ株での対応経験もあり、「早めの水際対策」に各国は動き出しています。
そうなると「リスク回避は長続きしない」との見方につながってもおかしくありません。
「変異株(オミクロン株)は脅威か?」、それとも「大したことないのか?」に関しては見方が分かれるところですが、少なくとも「現時点では判断できない」と見るのが自然です。
そうなると詳細が判明するまでは「次なる材料待ち(膠着)」となりやすいことになり、“急落の巻き戻し”にて先週末の取引を終えています。
これで“下げ止まった”と判断するのは早計でしょうから、まだ楽観はできないのは事実です。
しかし「パニックには程遠い」という現状を踏まえれば、過度な悲観も禁物と見るのが妥当ということになります。
それでいて落ち着きさえ取り戻せば「米テーパリングのペースアップ」「米利上げ時期の前倒し」に回帰する可能性を考えれば、“巻き戻し”に発展するかは別にしても“下げ渋り”に転じる可能性は十分…?
「パウエルFRB議長・議会証言」「米雇用統計」も予定されるスケジュール感ですので、「新型コロナへの懸念」に関しては“一旦落ち着いた”と見たいところです。
新たな懸念がまたぞろ跳び出してこない限り…。
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プロフィール
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武市佳史(たけちよしふみ)
大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。
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