新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
2020年の幕開けはボラティリティの高い動きでスタートしました。まずは1月1日に中国人民銀行は預金準備率を0.5%引き下げ12.5%としました(大手行)。預金準備率は預金規模によって強制的に中央銀行に預け入れなくてはいけない比率ですから。引き下げによって銀行の貸し出し余力が生まれ1150億ドル(およそ12兆円)の流動性がうまれるようです。預金準備率は2015年には20%ほどでしたがチャイナショックを受けて2016年には17%台に引き下げ、2019年1月には13.5%まで引き下げ、2019年秋に13%に引き下げ、今回12.5%に引き下げ2015年からは11回の引き下げとなっています。
中小金融機関には2兆円近い資金が回り、銀行の調達コストは2000億円ほど低下するという試算もあります。
中国は成長率が6%台前半に低下し、債務不履行がかなり増加し中小銀行に圧力がかかっていること、また長期休暇の春節を控えて資金の需給がひっ迫することを和らげる意図もあり、このことが預金準備り引き下げの原因と観測されています。
FRB、ECBの利下げを受けて、特にFRBの利下げによって新興国の中央銀行に利下げの余地が生まれ昨年後半は多くの新興国の中央銀行が金融緩和を行いました。
トルコ(10月24日16.5→14%、12月12日14→12%)、メキシコ(11月15日7.75→7.5%、12月20日7.5→7.25%)、ロシア(10月25日7→6.5%、12月13日6.5→6.25%)、ブラジル(10月30日5.5→5%、12月12日5→4.5%)
これ以外に多くの中央銀行が金利を引き下げました。新興国通貨にとって先進国と比べて高金利であることは通貨の安定に寄与します。しかし経済が弱い場合は金利を引き下げて経済を刺激したいのですが、ここでは先進国との金利差をある程度保っておかないと通貨の下落を引き起こします。ですからFRBが金利を引き下げてドルの金利が下がることによって少なくとも新興国にとっても利下げの余地が生まれるわけです。
実際1月1日の中国人民銀行の預金準備率引き下げでは、もちろん中国の経済にとってプラス材料なのですが、そのことが世界の株価を押し上げリスク選好の動きになりました。
米中通商交渉によって世界経済が減速する中で先進国の金融緩和に続き新興国の利下げが経済を支える起爆剤になり弱い経済との綱引きで結局金融相場で株価が上昇しているのが年末から年初の市場の動きです。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
TRY/JPY 4時間足BIDチャート
チャートはトルコリラ円の4時間足です。1月6日に17.945円の安値まで下落、一昨日17.986円に下落し再度17円台を試しましたが反転して18.664円まで上昇しています。(9日ニューヨーククローズ時点)
トランプ大統領が武力行使の拡大を望まないとの発言により地政学的リスクが後退すると、リスク選好の動きがたかまり新興国通貨も対円で上昇しました。中東情勢の鎮静化でトルコリラ円はとりわけ上昇しました。
上昇前にレジスタンスになっていた18.21円付近(12月2日の高値19.083円~1月6日の安値17.945円のフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し)、18.38円付近を上抜けして短期的なサポートである18.20円付近が維持され18.51円付近(50%戻し)も上抜けして18.61円付近で推移しています。
18.65円付近が61.8%戻しであるとともに12月17日に下抜けするまでサポートレベルとして機能したところです。ここが上抜けできないと18.51円付近、あるいは18.38円付近円の下落が予想されます。
18.51円あるいは18.38円を維持できれば上昇トレンドは継続で、再度18.65円を試すうごきになるでしょう。
18.65円上抜けした場合は18.815円(76.4%戻し)、12月13日の戻り高値18.95円付近への上昇が予想されます。