【新興国通貨は一時歴史的な安値に下落】
先週はコロナウィルスの感染拡大を受けて資金が資産市場から急速に現金に向かう動きが加速しました。その中で有事のドル買いが復活し、ドルが全通貨に対して非常に強くなりました。
先進国通貨ではポンド、豪ドル、ニュージーランドドルに対してドルは上昇、新興国通貨も大きく売り込まれドル高新興国通貨安が加速しました。
対ドルでインド、メキシコ、ブラジル、南アフリカは史上最安値まで下落、トルコリラも2018年8~9月の通貨危機以来の安値まで下落しました。
ただ今週は23日に多くの通貨が対ドルで最安値まで下落後、週後半にかけてドルの下落、新興国通貨の上昇の流れとなっています。
米国の中央銀行であるFRBは政策金利のFFレートの誘導目標を0~0.25%と事実上のゼロ金利政策をとり、資産買い入れ政策を復活するとともに、短期金融市場にレポオペ(国債などの担保を受け取り資金供給をすること)によって大量のドル資金を供給することで市場のドル不足を解消しようとしました。
それでもドルの上昇が止まらないとみると23日に再開した量的緩和政策で米国債などの資産を無制限に購入すると宣言したことでマーケットが反応し、そこからドルの下落トレンドとなりました。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコ中央銀行の金融政策は力不足か?】
そのような中で3月17日にトルコ中央お銀行は緊急の金融政策委員会を開催しは金融政策のパッケージを打ち出しトルコ経済のサポートを行いました。
政策は、政策金利の1週間物レポレートを1%引き下げて9.75%に、翌日物ファシリティによる無制限の流動性供給、31日物レポオペレーションによる資金供給、プライマリー・ディーラーに対する公開市場操作での流動性供給枠の増額などです。
トルコ中央銀行は、流動性の供給、外貨不足に対処する措置、資金繰りが困難な企業に対する金融支援などの措置を政策パッケージに織り込みました。
このような政策にもかかわらずトルコの経済現状は芳しくない状態です。トルコは欧州との経済関係が深く、現状のように欧州経済が減速する中ではトルコ経済に大きな減速圧力になります。
加えてトルコは観光産業が大きなウェートを占めているために、観光客の減少が経常収支に悪影響を与えトルコの経常収支の赤字を拡大させる可能性が高くなります。
このような現状を考えるとトルコ中銀のパッケージが実体経済を押し上げる力には限界があり、今後の経常収支の悪化はトルコリラのさらなる下落を招く恐れがあります。
TRY/JPY4時間足BIDチャート
【トルコリラ円の予想】
トルコリラ円は3月9日の安値16.261円から25日に17.449円まで上昇しました。しかし17.589円付近が2月20日の高値18.402~16.261円の61.8%戻しにあたり、短期のRSIも80%を超えて高値となりました。
上昇前にレジスタンスとなった16.95円付近がサポートとなり、ここが維持できれば再度17.40円付近への上昇、下抜けした場合は一目均衡汚評の雲の位置する16.74円付近への下落を予想します。
中期的な下落トレンドは継続中です。
ZAR/JPY4時間足BIDチャート
【南アフリカランド円の予想】
ランド円は3月9日の安値5.996円から3月14日に6.712円まで上昇しましたが、再び6.33円付近に下落して、中期的な下落トレンドは続いています。
5.996~6.712円の50%戻しである6.735円がレジスタンスとなり、短期的には6.148~6.504円のレンジで推移しています。
一目均衡表の雲の上限が6.44円付近に位置し、ここが短期的なレジスタンスとなり、再度直近安値の6.148円を試す展開です。
6.148円を下抜けした場合は9日の安値5.996円を再度試しに行くと予想します。
MXN/JPY4時間足BIDチャート
【メキシコペソ円の予想】
原油価格の下落を受けてメキシコペソ円は2月20日の高値6.008円から3月24日は4.349円まで下落しました。WTIが20ドル割れから反発したこともあり4.767円付近まで上昇しています。
高値の6.008~4.349円の23.6%戻しが4.747円、一目均衡表の雲の上限が4.8円付近となり、短期的な上昇がこのレベルを上抜けできるかどうかが重要なポイントです。
RSIが80%に近づいており短期的には天井圏になる可能性がありますが、4.8円をしっかり上抜けできれば上昇トレンドが継続し、短期のターゲットは38.2%戻しの5円付近、次が50%戻しの5.185円付近となります。
4.8円が上抜けできないと4.349~4.8円のレンジ継続と思われます。