今週に入り新興国通貨が再び下落しています。
4月6日にドルインデックスが100.94と高値まで上昇後に4月15日まで下落を続けて98.80付近まで下落しました。
この過程でドルランドは1ドル=19.35付近から17.85までドルの下落ランドの上昇となりましたが、そこから上昇し18.72付近で推移しており、この時点では前週よりもランド売りになっています。
ドルメキシコペソは4月6日の25.78ペソから4月13日に23.21ペソまでドル安ペソ高となりましたが、24.18ペソ付近までドル高ペソ安になっています。
ドルトルコリラ4月8日の6.79リラから6.62リラまでドル安リラ高となりましたが、その後は9.94リラまでドル高リラ安が進んでいます。
それぞれの国に個別の事情があるにせよ、ウィルスの感染拡大から世界経済が大減速する中で、先進国に比べて脆弱性の高い新興国通貨は売られています。
ここまで書きましたが、早朝にトランプ大統領が3段階の経済再開の指針を示したこと、米国の製薬メーカーであるギリアド・サイエンシズのレムデシビルという薬が臨床で好結果をだしたことでリスク選好の動きに転じています。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【それぞれに事情】
3通貨の中でもトルコリラの下落が大きかったですが、トルコは最近外貨準備の不足が話題になっています。トルコの外貨準備は1010億ドルと新興国の中では大きいほうではありません。
またトルコは経常収支こそ黒字なのですが、貿易収支の赤字をサービス収支がカバーしている状況です。このサービス収支は観光業で観光地であるトルコに多くの観光客が訪れていましたが感染拡大で観光収入の激減からトルコの国際収支が悪化することが予想されます。
トルコ政府は3日に感染拡大阻止のために31県に移動制限措置を発動し、このことは経済活動をさらに減速させる可能性があります。
南アフリカは9日に外出禁止令を4月末まで延長すると発表しました。これによって4~6月期の経済成長が大きくマイナスとなることはほぼ確実となりました。
格付け会社ムーディーズは14日のレポートで2020年の南アフリカの経済成長見通しを-2.5%に引き下げました。5週間に及ぶ全国的な外出禁止措置が生産活動に大きな影響を与えると指摘しました。
格付け会社フィッチ・レーティングは15日にメキシコの長期外貨建て発行体格付けをBBBからBBBマイナスに引き下げました。ジャンク級の一つ上の段階まで引き下げられましたが見通しは安定的としました。
フィッチはメキシコ経済が感染拡大により少なくともマイナス4%の成長に陥り財政赤字が拡大すると予想し、1052億の債務を抱える国営石油会社ぺメックスについても原油価格の急落を考慮すればさらにリスク要因になると指摘しています。
メキシコは2019年にマイナス成長に陥っており、感染拡大によってさらに深刻な減速となる可能性が懸念されます。
【トルコリラの予想】
トルコリラは対ドル、対円に対して下落が続いておりドルトルコリラは1ドル=6.95リラまで上昇して2018年8月14日の高値6.9850に迫っています。当面ここがポイントになりますが、ここを上抜けすると8月13日の高値7.15がターゲットになります。
リラ円は2018年8月の安値15.525円を下抜けして16日に15.434円まで下落しました。
朝方15.596円まで反発しましたが、一目均衡表の雲の下限におさえられて15.524円まで下落しています。
昨日の戻り高値15.63円付近、一目均衡豹の雲の上限の15.69円がレジスタンスとなり、ここを完全に上抜けするまでは下落トレンドは継続と予想します。
TRY/JPY1時間足BIDチャート
【南アフリカランドの予想】
ドル南アフリカランドは先月2016年の高値1ドル=17.3150ランドを上抜けしてから上昇が加速しています。先週19.3471まで上昇後に17.85まで下落しましたが再び18.9270付近まで上昇後に本日はややリスク選好となり18.70付近で推移しています。
ランド円は10日に6.083円まで上昇しましたがその後下落し5.678円まで下落しましたが、本日は5.786円まで反発しました。
一目均衡表の雲の上限の5.85円がレジスタンスになり、4月6日の安値5.595円と試しにいく流れが継続と予想します。
ZAR/JPY1時間足BIDチャート
【メキシコペソの予想】
ドルメキシコペソは先週1ドル=25.7812ペソまで上昇しましたが、その後13日に23.2097ペソまで下落しましたが24.4299まで上昇後に本日は23.7857まで下落しています。
ペソ円は4月10日に4.655円まで上昇しましたが、4.403円まで下落しましたが本日は4.549円まで上昇後に4.526円付近で推移しています。
9日の高値4.655円から16日の安値4.402円まで下落しましたが50%戻しが4.528円、61.8%戻しが4.558円で、短期的にはこのレベルがレジスタンスとして機能しています。
一方で一目均衡表の雲の上限の4.5円、下限の4.46円がサポートとして機能しています。
レンジをどちらに抜けるか重要で、上抜けできれば9日の高値4.655円、下抜けすれば4.40円を目指す動きを予想押します。
MXN/JPY1時間足BIDチャート