今週も世界的な株価の上昇が続きリスクオンの流れとなりドル売りのとなり新興国通貨もトルコリラを除き上昇しました。日経平均は20500円台から21900円台に、ニューヨークダウは24400ドル台から25700ドル台に日経平均は6.8%、ダウは5.3%と強い株式市場が続いています。
一方で米中は中国が全人代で香港対して国家安定法を制定することに対する世界の非難を受けてドル人民元(オフショア人民元CNH)は1ドル=7.1964元と2019年9月以来の元安になっています経済減速の中で中国が人民元安方向に誘導している可能性もありますが、7.2元を超えて元安が加速すると市場に悪影響を与える可能性もあるので米中関係の行方ともども注意が必要だと思います。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの材料と予測】
ペソやランドが上昇する中でトルコリラはドルに対して0.09%、円に対して0.04%と小幅に下落しました。
21日にトルコ中央銀行は政策金利の1週間物レポレートを0.5%引き下げて8.25%としたことはすでに書きました。トルコのインフレ率は3月が11.86%、4月は10.94%となり実質金利はすでにマイナスになっています。経済状況が悪化する中での利下げですが、実質金利がマイナスということトルコに投資する外国人投資家としては為替リスクをとる割には報われない投資となる可能性もあり、トルコからは国債を売って撤退する外国人投資家も増加しているものと思われます。
夏場のシーズンに向けて観光業が重要な産業であるトルコでは、感染による旅行客の減少により経常収支がさらに悪化するリスクがあります。
それに対してトルコ中央銀行は外貨準備の減少を補うために各国政府とのスワップ協定の締結を目指していますが、今のところそれに応じたのはカタール1国です(50億ドルから150ドル億ドルに増額)
このような状況がトルコリラの弱さにつながっています。トルコリラは引き続き下値を探る動きが続くと思います。
ドルトルコリラは6.61リラが短期的なサポート(リラの高値)と思われここを下抜けできないと6.61~7リラのレンジを予想します。
TRY/JPY 日足BIDチャート
リラ円は7日の安値14.611円から26日に16.057円まで反発しました。しかし一目均衡表の雲の上限、60日移動平均線(黄色)3月25日高値17.449~14.611の50%戻しがあり短期的なレジスタンスになっています。
20日移動平均線(赤)15.63、一目の基準線の15.33円付近への下落を予想します。
【南アフリカランドの材料と予測】
ランドはリスクオンの流れで対ドルで0.97%、対円で1.31%上昇しました。
21日に南アフリカ準備銀行は主要政策金利のレポレートを0.5%引き下げて3.75%としました。利下げを受けてドルランドは18.32ランドから17.92ランドになりランド高が加速しました。ランド円も利下げを受けてレジスタンスになっていた5.93円を上抜けして6円付近まで上昇しました。
23日に格付け会社のS&Pは外貨建て格付けをBB-、現地通貨建て格付けをBBに据え置き見通しを安定的としました。
S&Pは今年GDPを-4.5%と予想し財政赤字はGDPの13.3%に達し、政府の純債務残高が対GDP比で75%を超えると悲観的な見通しを公表しましたがマーケットに対する影響は限定的でした。
ZAR/JPY 日足BIDチャート
ランド円は6円付近に一目均衡表の雲の下限、転換線が位置しこのレベルがサポートとして意識されます。短期的には60日移動平均線が位置する6.125円がサポートとなっています。このレベルが維持されれば12月27日の高値7.815~4月6日の安値5.595円の38.2%戻しの6.44円、一目の雲の上限5.37円、50%戻しの6.706円付近がターゲットになります。
【メキシコペソの材料と予測】
リスク選好の流れを受けてペソは対ドルで2.27%、対円で2.43%上昇しました。
25日に発表された4月の貿易収支は42.93億ドルの赤字となり赤字幅は1991年以来最大となりました。感染症の拡大により輸出が37.7%減少したことが原因でした。
26日に発表されたメキシコの第1四半期のGDP確報値は前期比1.2%減少と速報値の1.6%減少から上方修正、前年比1.4%減少と速報値の1.6%減少から上方修正されました。
メキシコの経済状況も他の国同様さえないものですが、今週のペソは上昇となりました。
MXN/JPY 日足BIDチャート
ペソ円は4月6日の安値4.22円からの戻り高値4.655円を上抜けして4.873円まで上昇しています。
4.91円が2月19日の高値5.897~4.22円の38.2%戻しとなり短期のレジスタンスになっています。60日移動平均線が4.719円、一目均衡表の基準線が4.56円に位置しており、このレベルをサポートできれば4.911円、そこを抜ければ50%戻しの5.12円付近への上昇を予想します。