今週ここまでの新興国通貨は対ドルでも対円でも新興国通貨安になっています。通貨によって下落率は異なるのですが、先週までは為替ではドル安円安、また日米ともに株高となりシンプルにリスクオンの流れになっていました。
今週に入りドル円が109円台から106円台に下落したことで円高になりましたが、新興国通貨は対ドルでも下落しておりリスクオン、リスクオフに敏感な新興国通貨の下落が目立ちました。
今週はFOMCでは予想通り金融政策は据え置きとなり、フォワードガイダンスの変更やイールドカーブコントロールの変更はありませんでした。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの材料と予測】
6月2日に発表された5月の貿易統計では輸出が前年同月比で40.9%減少と4月の41.4%減少に次いで大幅な減少となりました。貿易収支は5月が34.4億ドルの赤字、4月も45.6億ドルの赤字となりました。もともとトルコは貿易赤字を観光客の落とす外貨と海外からの投資によってカバーしています。
世界的な経済減速で輸出が減少する中で、観光客の減少やトルコに対する投資の減少がトルコの経常収支を悪化させ、そのことがさらにトルコリラに売り圧力となっています。この悪循環が続く限りはトルコリラの本格的な上昇は難しいと思われます。
今後は12日に4月の経常収支、鉱工業生産、15日に財政収支の発表があります。
ドルトルコリラは6.6875がサポートされ6.8330付近に上昇しています。6.7がサポートされると6.7~6.9のレンジが予想押されます。
TRY/JPY 日足BIDチャート
リラ円は6月2日に15.239円まで上昇しましたが15.568円まで下落しています。16.30付近は下落前のサポートでその手前が抑えられる形となりました。
15.425円に一目均衡豹の転換線、15.25円付近に雲の下限がありここが短期的なサポートになります。
【南アフリカランドの材料と予測】
リスク選好の流れとドル売りが続く中でドルランドは16.33ランドまでランドは上昇しました。しかしここまでドルランドは2020年1月2日の安値13.93~4月6日の高値19.347の50%戻しの16.67付近がサポートされ17.09まで反発しランド売りになっています。
11日発表された3月の製造業生産は前年比-5.4%(前回-2.1%、予想-4.9%)、4月鉱業生産は前年比-47.3%(前回-18%)と激しいものになりました。ランド売りは指標発表後に一段と加速しました。
ZAR/JPY 日足BIDチャート
ランド円は10日に6.554円まで上昇しここが戻り高値となっています。6.71円付近は今回のレンジである7.815~5.595円の50%戻しに当たりそのレベルがレジスタンスとなりました。また200日移動平均線も6.741円付近に位置していました。
6.23円に20日移動平均線、6.195円に60日移動平均線が位置し6.2円付近が短期的なサポートと思われます。
ここを下抜けした場合は一目均衡表の基準線の6.08円付近への下落を予想します。
17日発表の5月のCPIと4月の小売売上高が注目されます。
【メキシコペソの材料と予測】
6月8日のロイターの記事ではメキシコが投資適格級喪失の可能性が高まり、その場合は443億ドルの国債の売り圧力が生じる可能性があるという記事がでました。
現状の格付け会社の格付けはフィッチ・レーティングスがBBBマイナスで見通し安定的。ムーディーズ・インベスターズがBaa1で見通しはネガティブ、S&Pグローバル・レーティングがBBBで見通しはネガティブとなっています。
記事によるとJPモルガンのレポートによるとジャンク級となった場合は443億ドルのメキシコ債が売り圧力にさらされる可能性があるとしています。
フィッチのレーティングはジャンク級の一歩手前、S&Pは2段階上、ムーディーズは3段階上となっており、今のところフィッチ以外は安全圏とも言えます。またレーティングに関しては1社がジャンク級となってもすぐに売りにつながるわけではありませんから、この問題は注意が必要ですが、すぐにどうこうなるという問題ではありません。
ドルメキシコペソは21.50がサポートされて22.5150付近まで上昇しペソ安が進んでいます。一目均衡表の基準線が23付近に位置し21.50~23のレンジが予想されます。
MXN/JPY 日足BIDチャート
ペソ円は6月8日に5.103円まで上昇しましたが4.72円まで下落しています。5.12円付近が今回のレンジの6.008~4.22円の50%戻しに当たりここがレジスタンスとなりました。一目均衡表の基準線が4.71円でしたが、ここを下抜けしたために上昇前のレジスタンスレベルの4.5円付近への下落を予想します。