新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコの材料と予測】
24日にトルコ中央銀行は金融政策の据え置きの予想を覆して利上げに動きました。1週間物レポレートを8.25%から10.25%に、翌日物借入金利を6.75%から8.75%に、翌日物貸出金利を9.75%から11.75%に引き上げました。
現状のインフレ率は11.77%とまだ政策金利を上回っていますが、中央銀行の政策転換はリラにとって良い兆候かもしれません。
声明文では「経済活動は正常化に向けたステップで第3四半期は著しく回復している。パンデミックで観光収入は減少したが良好制限の緩和で改善に寄与、輸出の回復、実質為替レートの水準は今後の経常収支を支える。強い経済回復などの影響でインフレ期待とインフレ見通しのリスクを封じ込めるために金利を引き上げた。ディスインフレプロセスの維持が、ソブリンリスクの低下、長期金利の低下、経済の回復強化の主要な要素と評価。そのためには中銀は利用可能なすべての手段を引き続き使用する。」
このように述べています。徐々に経済は回復しているがインフレリスクと見通しが上昇しているので、それを抑えるために利上げしたと言っています。やや遅きに逸していると思われますが、外貨準備の枯渇、東地中海問題などで通貨リラが下落する中で、いよいよ重い腰を上げたというところです。
中銀の姿勢がインフレリスクを重視するものでファイティングポーズをとれば、通貨リラの回復には役立ちますが、この声明文ではまだそれほどの姿勢は見えません。またエルドアン大統領の中銀に対する圧力が今後どうなるかということも見守る必要があります。
USD/TRY 1時間足BIDチャート
ドルトルコリラは発表前に7.7124とドルの高値リラの安値まで上昇しました。発表を受けて7.5503まで下落後に7.6272付近まで反発しましたが本日は7.5370付近まで下落しています。7.65付近(一目雲の下限)がレジスタンスとなり「再び下落を始めています。7.5付近を試す動きになっており、7.5を下抜けすれば10日の安値7.41付近への下落を予想します。中央銀行の今後のスタンス次第だと思います。
TRY/JPY 1時間足BIDチャート
リラ円は13.589円まで下落しましたが発表を受けて13.93円まで上昇後に13.789円付近に下落しました。本日は再び上昇し14.01付近まで上昇しています。13.70付近が短期的なレジスタンスになっていましたが、ここが上抜けしたことで短期的には13.70付近がサポートレベルになります。節目の14円が上抜けすれば中期的な上昇トレンドになる可能性があります。短期的には13.80付近をサポートに14円台を維持できるかどうかに注目しています。
【南アフリカランドの材料と予測】
先週のレポートで書きましたが、17日にラマポーザ大統領は南アフリカのロックダウンレベルを2から1に引き下げたことで非製造業の回復が期待されました。
またSARB(南アフリカ中央銀行)は政策金利を予想の0.25%引き下げに反して3.5%に据え置きました。声明では先行き不透明感は高いままであり、今後の決定はデーター次第としました。
据え置きを好感してランドは週の高値に上昇しました。
USD/ZAR 1時間足BIDチャート
このように先週はランドが上昇し、ドルランドは16.0736まで下落しドルの安値ランドの高値を示現しました。しかし今週は欧米市場で株価が下落しリスクオフの流れが加速しました。これを受けてランド売りが加速しドルランドは17.21ランドまで上昇しドルの高値、ランドの安値を示現しました。17ランド付近は日足の一目均衡表の雲が位置し短期的なレジスタンスとして機能しています。
24日の米国株式市場はやや反発しておりドルランドは16.9320付近に下落しています。16.90付近に時間足の一目の上限があり、このレベルを下抜けできれば16.80付近への下落が予想されます。
ここからは株価次第の動きになると思われますが、株価が上昇すれば16.50付近への下落が予想されます。一方で株価の下落が続くようであれば再度17.21の高値を試しに行くものと思われます。
ZAR/JPY 1時間足BIDチャート
18日にランド円は6.495円の高値まで上昇しましたが、今週に入りリスクオフの流れとなり6.116円まで下落しました。ニューヨーク株式市場が反発しているのでランド円も6.21円付近まで上昇しています。6.23円付近に時間足の一目の雲の上限が位置し、ここが短期的なレジスタンスとなっており、ここが上抜けできないと6.10~6.23円のレンジ。上抜けできれば6.3円付近への上昇を予想します。一方で6.1円付近を下抜けした場合は10日の安値5.95円付近がターゲットになります。
【メキシコペソの材料と予測】
昨晩メキシコ中央銀行は政策金利を0.25%引き下げて4.25%としました。利下げは昨年8月から11回号連続となりました。
声明では「パンデミックによる減速から6月と7月は回復したが、不確実性と下振れリスクがある。感染拡大による経済活動、金融リスクが継続しており、1930年代以降で最大の経済減速が予想される」と述べました。
8月26日発表された、メキシコのGDPは前期比-17.1%、前年比-18.7%と大きく減少しています。
9月9日に発表された消費者物価指数は前年比4.05%と前回の3.62%、予想の4.02%を上回りました。コア消費者物価指数も4%を超える上昇でした。中銀は長期的には3%を超えるあたりの物価を想定しているとしています。
ただインフレに関して見通しは不透明で、様々なリスクを考慮すると金融政策と経済全般に大きな課題が生じると述べています。
ここまでメキシコ忠義は連続利下げしてきましたが、過去5回の利下げ幅が0.5%に対して今回0.25%と利下げ幅を縮小したのはインフレ率を考慮しての決定だと思います。
メキシコ中銀はさまざまなデーターに基づいて経済への影響や金融ショックを考慮して、必要なすべての措置を講じると述べています。
しかしインフレ率を考慮すると利下げ余地が狭まってきているのは確かで、メキシコ中銀は難しいかじ取りを迫られる可能性があります。
金融政策発表後ペソの動きは限定的となりました。
USD/MXN 日足BIDチャート
ドルペソは昨日22.69ペソまで上昇した後に22.1025付近に下落して推移しています。7月以降リスクオンの動きを受けてドルメキシコペソは20.8349まで下落しましたが今週に入り米国株の下落でリスクオフとなりドル買いペソ売りで22.69まで上昇しました。日足一目均衡表の雲の下限が22.30付近、上限が22.55付近に位置し、このレベルがレジスタンスとして機能しています。このレベルが上抜けできないと21.20~22.55のレンジが沿おう呈されます。
MXN/JPY 1時間足BIDチャート
ペソ円は18日に5.018円まで上昇しましたが、今週に入りリスクオフの流れから4.644円まで下落しました。昨晩のドルペソが下落すると4.8円付近まで反発して4.76円付近で推移しています。
4.635円付近は6月以降サポートとされている重要なレベルです。ここが維持されたことでペソの下落は一旦終了。4.65~4.9円のレンジを予想します。