新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【南アフリカランドの材料と予測】
南アフリカランドは堅調な動きになっています。先週のレポートでも書きましたが、28日にムボウェニ財務相は国会にMTBPS(中期財政政策)を発表しました。これは2月に国会に提出される翌年度予算案の編成のためのベースになるものです。今回の発表で南アフリカの財政赤字は2023~24年度末に対GDP比で93%ほどに上昇する見通しです。新興国でも100%近い財政赤字は持続可能性に対する懸念が上昇するレベルです。政府は財政健全化のために人件費などの固定コストの引き下げと、段階的な増税によって歳入を増やす方針を示している。ただ南アフリカの問題は社会インフラの基盤が不足していることと強すぎる労働組合など労働市場の問題という双子の問題解決が必須です。
米大統領選挙に向けて株価が上昇する中でリスクオンの動きからドル安ランド高の流れになっています。
USD/ZAR 週足BIDチャート
ドルランドは直帰の安値16.08付近を下抜けして節目の16を割って15.6695まで下落しています。16は12月の安値13.93~4月の高値19.35の61.8%戻しでした。当面のターゲットとしては15.40付近2018年2月の安値11.507~19.35の50%戻し、15.23(13.93~19.35の76.4%戻し)、14.50(11.507~19.35の61.8%)付近が考えられます。16付近がレジスタンスとなり、ランド高が継続するものと思われます。
ZAR/JPY 日足BIDチャート
ランド円はレジスタンスになっていた6.55付近を上抜けしています。6.55付近をサポートできれば6.71(12月の高値7.815~4月の安値5.595の50%戻し)、ここを上抜けできれば61.8%戻しの6.975円がターゲットになります。
【トルコリラの材料と予測】
30日にトルコの第3の都市イズミール付近でM7.0の地震が起こり大きな被害を受けています。発生直後のドルトルコリラは一時売られましたがその後の動きは限定的でした。
下落するリラ防衛のためにトルコ中央銀行は2日に翌日物貸出金利を停止しましたが、リラ安を止めることはできませんでした。
3日に発表された10月の消費者物価指数は前年比11.89%となり前月の11.75%を上回りましたが予想の11.9%は下回りました。生産者物価指数は18.2%と前月の14.33%を上回りました。インフレ率の上昇が止まらず、それに対してトルコ中央銀行の金融引き締がない中でリラの下落は止まりません。
USD/TRY 4時間足BIDチャート
ドルトルコリラは一時8.5386までリラ安が進行しました。その後はリスクオンのドル売りを受けて8.4付近まで下落しています。
8.5386が短期的には高値となりドル安の恩恵を受けています。8.37付近が短期的なサポートとなり、ここを下抜けすれば8.25付近への下落が予想されます。しかしトルコ中央銀行が利上げを含む通貨防衛を行わなければリラの安値は見えません。
TRY/JPY 4時間足BIDチャート
リラ円は12.215まで下落し下落トレンドが続いています。12.33付近及び12.48付近が短期的なレジスタンスになっています。節目の12を目指す動きが予想されます。
【メキシコのペソの材料と予測】
30日に発表されたメキシコの7~9月期のGDP速報値は前期比12%の増加となりました。4~6月期の17.1%減少から急回復しました。前年同期比では8.6%減少となり6四半期連続のマイナスとなりましたが4~6月期の18.7%減少から改善しました。
自動車生産台数が7~9月期は回復し、各社が通常の稼働に戻ってきており、そこは明るいニュースとなっています。
一方で雇用情勢の悪化が懸念されています。社会保険庁によると3月から7月までで111万人の雇用が失われ8月からは回復していますが、回復の数値は弱いものになっています。
メキシコ国内の感染者数は943,630人と世界10位の規模で(ジョンズ・ホプキンズ大学のHPより)感染拡大が止まらないことが経済の重石になっています。
メキシコ中央銀行集計の民間銀行の予想では2020年の経済成長見通しは9.82%の減少となっています。
USD/MXN 日足BIDチャート
ドルメキシコペソは一時21.9690まで上昇しましたが一目均衡表の雲で抑えられ、ドル安の流れとバイデン候補優勢の報道を受けて20.6231まで下落しました。サポートされていた20.82付近を下抜けして安値を更新しています。2月の安値18.5237~4月の高値25.7849の76.4%戻しの20.24付近、節目の20付近が短期のターゲットと思われます。
MXN/JPY 日足BIDチャート
ペソ円はトランプ大統領優勢で一時4.787まで下落しましたが一目均衡表の雲がサポートされ一時5.035と6月5日の5.103以来の高値まで上昇しました。5.12付近は2月の高値6.008~4月の安値4.22の50%戻しに当たり、ここが重要なレジスタンスになっています。ここが抜けなければ4.8~5.12のレンジを予想します。
チャート及びレンジは5日のニューヨーククローズまでです