今から追いつくBrexit特集2019

離脱延期案を支持するか否か

2019/03/14
マネーパートナーズ

3月13日の英国議会採決においてハードブレグジット(合意なき離脱)を拒否する決議案が可決されたことにより、ブレグジットは次のステージへと進み3月14日に離脱延期案を支持するか否かの議会採決が執り行われることになりました。
しかし、ブレグジットを巡るシナリオはさらに複雑化しています。

事前の予想では英国議会は延期案を可決するはずだと言われています。英国議会及びEUが離脱延期案を承認した場合、その延期期間が焦点となります。
(離脱交渉のEU側交渉責任者、バルニエ首席交渉官は欧州議会で「イギリスが延期を求めるなら明確な理由と期間についての説明が必要で、安直な延期は慎むように」と述べている様に延期案がEU側で否決される可能性は否定できません。)

はじめに、長期(1年程度)の延期が可決された場合は、引き続き交渉を行うだけでなく、改めてイギリス国民にブレグジットの是非を問う国民投票のやり直しが視野に入ります。
メイ首相自身は離脱を巡る2回目の国民投票は、2016年の国民投票結果が軽視されることを不安視していると報じられています。

一方で短期の離脱延期案が可決された場合、ブレグジットに向けた延期期間は以下の3通りが想定されています。


4月半ばまでの延期

最初の候補日としては4月18日が挙げられます。
この日は5月23日から始まる欧州議会選挙の前に今の欧州議会メンバーがブレグジットについて投票できる最後の日と言われています。


5月下旬までの延期

次の候補としては上述の欧州議会選挙直前の5月23日までの延期が挙げられます。
2019年3月29日の離脱期限は2018年に英国議会がEU離脱法の中で承認しています。この期限を延長する際には法律改定の手続きが必要となります。
そして、メイ首相は離脱協定を国内法とすることを公約しているため、その手続きは相応の日数がかかります。
そのため、4月半ばまでの延期では議論や手続きの時間が足りないことが考えられ、5月下旬までの延期が想定されます。


6月末までの延期

最後の候補としては6月30日までの延期が考えられています。
メイ首相は6月末まで延期する方針ですが、13日の採決後「議員一人ひとりにEUと合意できる離脱案が何かを見つける責任がある」と強調し、現状を打破することができない場合は延期が長期化する可能性も示唆しました。
また、過去に離脱延期について問われた際にも、「延期をするとしても6月末を越えることはなく、短期の延期も一度きりになるだろう」と述べております。


上述の短期の延期が承認される場合、最大野党・労働党が目論むメイ首相の辞任や、英国議会の解散総選挙が噂されていますが、現時点でその可能性は低いというのが市場の予測です。

市場予測として有力視されている説は、「Indicative Vote」からなる展開です。
「Indicative Vote」とは"仮の投票"と呼ばれており、採決前の交渉・根回しを通じて議会で過半数をとれる(可決できる)案を模索することです。

考えられる案としては、主に以下の3つが挙げられます。

国民投票のやり直し

こう着状態打開のため、2度目の国民投票を行いブレグジットの是非を国民に問います。


ソフトブレグジット(Soft Brexit)

Soft Brexitとは、関税同盟残留やノルウェープラス型と呼ばれるようなソフト路線で、協調を優先した穏健な離脱であり、経済的にはEUの市場とつながりを保ったままEUを離脱することを指します。
Soft Brexitが成されればイギリスは従来と同様に関税を考慮せずEU圏で経済活動ができ、イギリスにとってはメリットが大きいだけでなくEUにも歓迎されるため、この案を求める声が高まっています。


リスボン50条の撤回

リスボン50条の撤回はEU離脱の取りやめを意味します。
EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所(ECJ)は2018年に「イギリスは欧州連合(EU)加盟国の同意なしに一方的にブレグジットを取り消せる」との判断を下していますが、メイ首相は離脱撤回はしないというのが大方の予想です。


反対にIndicative Voteに失敗してしまった場合は同意が得られないまま離脱協定の採決(第3弾のMeaningful Vote)が行われ、「メイ首相の離脱案でのブレグジット」や結局「ハードブレグジット」を選択せざるを得ないのではないかと言われています。