今から追いつくBrexit特集2019

第3回 Meaningful Vote

2019/03/15
マネーパートナーズ

3月14日に行われた議会採決で離脱延期案が支持されましたが、3月20日までに英国議会でメイ首相の協定案が可決されれば6月30日までの延期を要請するという条件が付いているため、明確な延期期限が決まったわけではありません。

一方で否決された修正案の内容としては主に以下の3点が挙げられます。

1.「Indicative Vote」の実施

Indicative Voteは"仮の投票"と呼ばれており、採決前の交渉・根回しを通じて議会で過半数をとれる(可決できる)案を模索することです。
後述の次回議会採決のための明確な交渉・根回しは否定されたことになります。

2.二度目の国民投票の実施

現時点で二度目の国民投票に踏み切るための延期をすることは否決されましたが、今後の展開次第では二度目の国民投票も考えられます。

3.英国議会での合意が得られるまでブレグジットを延期

短期的な解決を望む声が強く、メイ首相が再三否定してきた通り、長期的な延期は問題を先延ばしにし何の解決にもならないという観点からこの案は否決されています。


そのため、今後の展開としては3月20日までにメイ首相とEUの間で合意している離脱協定案の議会採決(第3弾Meaningful Vote)を行うこととなりました。
この採決において、英国がEUに申請する延期期間も決まることになります。


はじめに、3月20日までにメイ首相の離脱協定案が可決された場合は6月30日までの延期を申請すると予想されています。
延期期間が6月を越えてしまうと7月2日に開催される欧州議会への参加が必要になることが危惧されているからです。

EUが延期を6月30日までの承認した場合は以下のシナリオが予想されています。

1.Soft Brexit(ソフトブレグジット)

Soft Brexitとは、関税同盟残留やノルウェープラス型と呼ばれるようなソフト路線で、協調を優先した穏健な離脱であり、経済的にはEUの市場とつながりを保ったままEUを離脱することを指します。
Soft Brexitが成されればイギリスは従来と同様に関税を考慮せずEU圏で経済活動ができ、イギリスにとってはメリットが大きいだけでなくEUにも歓迎されるため、この案が有力視されています。

2.メイ首相辞任

はじめに定めた離脱期限(3月29日)を過ぎてなお問題の解決に至らないことがEUにとってメイ首相及び現政権への不信感を高めることに繋がるため、他の首相に任せるという展開です。
最大野党・労働党は、いつでも内閣不信任案を提出することができ、不信任案が可決されれば、国民投票のやり直しも視野に入ります。

3.英国議会解散総選挙

上述の首相辞任のケースと同様に今の議会では結論に至らないと判断した場合、議会の解散総選挙が考えられます。
総選挙には下院議員3分の2以上による可決が必要ですが、総選挙を実施し、過半数議席を確保する派閥ができれば解決の糸口も見つかるのではないかと言われています。

4.二度目の国民投票の実施

メイ首相の離脱協定案に否定的な立場を持ち続けているイギリスの最大野党・労働党からは二度目の国民投票を望む声も強くなっています。
しかし、国民投票を実施するには最短でも22週間必要だと言われており、更なる長期化へつながることや一度決めた国民の意見を軽視することになるためメイ首相は否定的な考えを示しています。

5.EU残留

「イギリスはEU加盟国の同意なしに一方的にブレグジットを取り消せる」とEUの最高裁にあたる欧州司法裁判所(ECJ)が判断しています。
そのため、こう着状態が続けば離脱撤回も選択肢に入ってきます。それ以外にも国民投票をやり直し、EU離脱を望まない国民が多ければ残留することになります。

6.ハードブレグジット(合意なき離脱)

3月13日に圧倒的大差で否決されたハードブレグジットですが、仮に6月30日までに結論がでなければその際にも何の合意もないままEUを離脱することになります。


上記が3月20日までにメイ首相の離脱協定案を英国議会が可決した場合のシナリオですが、過去に2度も否決された協定案である以上今度も否決される可能性は十分にあります。
否決された場合には延期の期限を3月21日から開催されるEUサミットに任せることになりますが、その際には1年程度の長期の延期になると予想されています。

時間的猶予が十分に与えられた場合に最有力となるシナリオが国民投票のやり直しです。
その他にもメイ首相の協定案が可決された場合と同様に首相辞任及び解散総選挙、ハードブレグジット等の可能性も否定できません。

現時点で有力視される展開こそありますが、いずれも起こりうるため、ブレグジットを取り巻く環境はより複雑化してしまったと言えます。