今から追いつくBrexit特集2019

第3回Meaningful Voteはまたしても反対多数で否決

2019/04/01
マネーパートナーズ

メイ首相の離脱協定案を巡って3月29日に行われた第3回Meaningful Voteはまたしても反対多数で否決されました。
今回の採決前にメイ首相は「自身の協定案が承認されるのであれば首相を辞任する」と表明したにも関わらず反対派を説得できなかったことがBREXITの深刻さを物語っています。
先日のEUサミットではメイ首相の協定案を承認することが5月22日までの延期の条件となっており、否決された今では4月12日が離脱期限となるため、ハードブレグジット(合意無き離脱)が現実味を帯びだしています。

そして、BREXITの今後の展開としては、4月1日に2度目のIndicative Vote(仮の投票)を行いメイ首相の協定案に代わる案を模索することになっています。
3月27日に行われたIndicative Voteでは僅差のものこそありましたが、以下の8つの案が否決されています。


1.「合意なき離脱」案 160対400で否決

EUから提示された期限の4月12日をもって、一切の協定や合意無く離脱する案です。3月13日に正式に行われた議会採決では278対321で否決されています。


2.「関税同盟」案 264対272で否決

最も僅差で否決された案であり、EU離脱後も今まで通りの経済活動ができるように関税同盟への恒久的残留を行う案です。


3.「労働党案」 237対307で否決

EUとの関税同盟、単一市場との緊密な連携、労働者の権利保護などを条件とした案で労働党の公式な立場を反映しています。


4.「再国民投票」案 268対295で否決

国民投票で賛意が得られるまでは、英議会は離脱協定案の承認も施行もすべきでないというプロセスに関する案です。
この結果を受けてスコットランド国民党のイアン・ブラックフォード議員は、「過去に2度も否決されたメイ首相の協定案への賛成票よりも多いので総選挙を実施し英国民の声を聞くしかない」と発言しています。


5.「ノルウェー」案 65対377で否決

欧州経済地域(EEA)にとどまる一方、欧州自由貿易連合(EFTA)への再加盟を求めたもので、ノルウェーと同様にEUの単一市場へのアクセスが可能になりますが英国裁判所の承認を必要とする案です。


6.「ノルウェー・プラス」案 188対283で否決

欧州自由貿易協定(EFTA)に再加入し、欧州経済領域にとどまることで、ブレグジット後も単一市場にとどまる案です。
上記ノルウェー案に「包括的な関税取り決め」を加えたもので、条件付きで人の自由な移動を認めており「共同市場2.0」とも呼ばれています。


7.「ハードブレグジット中止」案 184対293で否決

政府が協定案を可決できなければ議会は離脱日の2日前にハードブレグジット(合意なき離脱)について確認投票(議会採決)を行い、ハードブレグジットが否決された場合に限り、ブレグジットを中止するという案です。


8.「モルトハウス妥協」案 139対422で否決

メイ首相の離脱協定からバックストップを除外し、離脱後のアイルランド国境へのハードボーダー設置回避を保証する「バックストップ」の必要性をテクノロジーを用いてなくす案です。



過半数の賛成を得ることができなかった上述の代替案ですが、議会は現在代替案の修正を急いでおり、可決の可能性を高めることができるか探っていると報じられています。

法的拘束力こそないものの、仮にIndicative Voteで過半数を取れる案が見つかれば、明確な方針とそれに必要な離脱期間の延長をEUへ申請し4月10日に緊急開催されるEUサミットに判断を委ねることになります。 一方で、Indicative Voteでまたしても代替案を見つけられなかった場合は、4月10日までの第4回Meaningful Voteの開催が噂されています。4度目の正直で可決されればそれをEUに申請することになります。

しかし、第4回Meaningful Voteでもメイ首相の協定案が可決されなければ事態はさらに深刻化することになります。
否決された場合英国は長期の延期を要請すると見られていますが、長期の延期となれば5月23日からの欧州議会選挙に英国が参加する必要性が生じてくるため、EU側も基本的な方針の見直しなどを条件にするといわれています。
その際の方針としては、国民投票のやり直し、関税同盟残留のようなより穏健な離脱であるソフトブレグジット、解散総選挙が予想されています。
メイ首相はかねてより総選挙の可能性を否定してきましたが、第3回Meaningful Vote後の会見ではついに「われわれは下院での手続きの限界に達しつつある」と総選挙実施を視野に入れていること示唆したため、総選挙を含め、かつては想定されていなかった方向へ進む可能性も高まっています。

そして、可能性の1つとして最も危惧されているのがハードブレグジットです。4月12日の離脱期限は刻一刻と迫ってきているにも関わらず、進展がないためハードブレグジットの可能性は日を追うごとに高まっています。
現実になりつつあるハードブレグジットを阻止するために英国がどのように対処していくのかが今後の展開を大きく左右することになりそうです。