今から追いつくBrexit特集2019

Brexit特別コラム

2019/10/18
チーフアナリスト 武市佳史

10月18日|テーマは『英-EU間の合意』から、『英議会の承認』へ…!?

 『英-EU間にてBrexit協定案を合意』を背景に、ポンド円はさらに駆け上がりました。しかし昨日も記したように、『閣外協力する民主統一党(DUP)は、現在案を支持できない』と伝わっています。このため一時は“141.468円”へと急伸したものの、その後は“138.658円”へと押し戻される場面も見られるなど、“荒い動き(乱高下)”は続いています。

 「政府Brexit方針に反対」から派生した「9月初の離党騒ぎ」の影響で、現在の英与党・保守党は「過半数割れ」となっています。こうした中で閣外協力関係にある民主統一党(DUP)の“同意”が得られないとすれば、「英議会での承認は難しい」「まだまだ予断を許さない」との見方が台頭するのは、自然な流れといえます。

 もちろん仮に承認されなかったとしても、『(英政府は)Brexit期限延長を要請せざるを得ない』との見方は根強いものがあります。このためすぐに「合意なきBrexit懸念」が再燃するわけではないでしょうが、しかし直近5営業日の急騰で、ポンド円の上昇幅は“すでに11円弱”に到達しています。つまり期待感が緩むだけで、またもや“乱高下”に転じる可能性はゼロではないということになります。

 乱高下の影響から、昨日のローソク足は“長い上髭”を見せています(長い下髭も見られますが…)。注目の“200日移動平均線”を「3日連続」「終値ベース」で上回った格好ですが、それでもまだ『200日移動平均線を巡る攻防は続いている』、つまり『乱高下は続く』と見ておく必要がありそうです。


10月16日|いよいよ“200日移動平均線”に到達 - 明確に抜けた方向に「トレンドは発生する…?」

 まさに「動き出したら止まらない」といった、“ポンド円の特性”を地で往く動きを見せています。

 「EU首脳会議(17日-18日)」を控えるスケジュール感の中、マーケットでは“巻き戻し”が加速しています。『英-EU間でBrexit合意』との思惑が広がったからですが、前回時に記した“目先の上値メド(9/20高値:135.731円)”を突破したポンド円は、あれよあれよといっている間に“200日移動平均線(同本日は138.711円)”へと到達、さらに昨日(10/15)には“139.303円”まで上値を伸ばしています。

 一方で、こちらも前回時に記したように、状況は何ら変わっておりません。「英-EU間で合意に至るか?」は依然として不透明といわざると得ず、仮に合意されたとしても「英議会が承認しない」という可能性も残っています。つまり値幅こそ大きい(実際に急騰といえる)ものの、現時点では“あくまで巻き戻し”ということになります。

 問題は「さらに上値を目指すか?」ということになりますが、「EU首脳会議の結果次第」という状況を考えれば、現時点では決め打ちすることはできません。ただ前回時と異なるのは、「“200日移動平均線”にすでに到達」という事実です。

 「テクニカルの要所」といわれる“200日移動平均線”は、レートより下にあれば「押し目買い」、上にあれば「戻り売り」が基本というテクニカルです。しかし明確に、かつ一気に抜け切る可能性は比較的低く、「上抜けたと思えば下がり」「下抜けたと思えば上がり」といった不安定な動きになりやすい傾向があります。ただし明確にどちらかに抜けるようなことがあれば、それは「長期トレンド発生(トレンド傾向は続く)」の可能性も秘めたテクニカルでもあります。

 冒頭で記したように、10日からの4日間で“8円超”の上昇をもって、昨日には“200日移動平均線”を上回りました。しかし本日に入ってから再び“138円台”へと押し戻されており、“同ライン”も割り込みつつあります。早くも不安定な動きを見せだした格好ですが、こうした中で囁かれ出したのが『(今回のBrexit修正案は)メイ前首相が3度否決された内容に類似』という指摘です。詳細は不明ではありますが、これが本当だとすれば…?

 「動き出したら止まらない」という習性を考えれば、さらなる上昇は十分に期待されるところです。しかし「具体的な進捗なし」という中での「センチメント好転」は、かなり不自然でもあります。後は結果次第という面がありますので「決め打ちは厳禁」といえますが、少なくともBrexit合意を現時点で過信するのは「かなりのリスクを伴う」ということだけは、頭の片隅に残しておきたいところです。


10月11日|期待感からポンド急騰…! - しかし何ら状況は変わっていない…?

 やはり「紆余曲折」は待っていた…。

 ジョンソン英首相-バラッカー・アイルランド首相は昨日会談し、『合意に向けた道筋があることで一致』と表明しました。ノーマークだったマーケットは、これを見て「合意なきBrexit回避に向け、何らかの合意がなされる可能性」を囃し、積み上がっていた“ポンド売りポジションの巻き戻し”で反応しました。ポンドドルは“1.22ドル前半⇒1.24ドル後半(260pips超)”、ポンド円は“131円半ば⇒134円半ば(300pips超)”への急伸を演じています。

 一方で昨日の会談では「具体的な進展」があった訳ではなく、あくまでも「アイルランドが交渉拒絶⇒EU首脳会議でBrexit問題そのものが議論されないリスク」がなくなったに過ぎません。模索するのは「限定的な自由貿易協定(FTA)」との話も漏れ伝わりますが、この提案をEU側が受け入れるかも依然として不明といわざるを得ません。つまり現時点で「過度の期待(楽観)は危険」といわざるを得ず、「紆余曲折」を繰り返してきたこれまで経緯を考えれば「あくまで巻き戻しの範囲内」と認識しておく必要もありそうです。

 それでも昨日の急伸で“100日移動平均線(本日は133.521円)”“9/20~10/8の61.8%戻し(133.704円)”を明確に上回りましたので、テクニカル的には「期待が募る局面」であるのも事実です。「動き出したら止まらない」といった“ポンド円の特性”まで合わせて考えれば、無碍に“反落”と決めつけるのも躊躇されるところです。

 次なる“上値メド”と見られるのは、やはり“9/20高値(135.731円)”でしょう。ここを突破するようなことがあれば、“7/1高値(137.771円)”-“6/11高値(138.320円)”を経て、“200日移動平均線(同138.703円)”に向けたさらなる上値追い(反発)が現実味を帯びてくるからです。しかし越え切れなければ…?あるいは前記“100日移動平均線-61.8%戻し(133.70-50円)”を再び割り込んでしまえば…?「絵に描いた餅」になるリスクを孕んでいるともいえます。

 もちろん「米中通商協議」も並行していますので、まだ何が起こるかわかりません。先行きは「依然として不透明」であり、一ついえるとすれば「(いずれ方向にも)決め打ちは禁物」といったところかもしれません。しかしファンダメンタルズを分析した限りにおいては、「(積み上がったポンド売りポジションの解消を除けば)まだ積極的にポンドを買う状況にはない」とはいえそうです。「Brexit交渉」「米中通商協議」の進展具合だけではなく、「あとどのくらい残っているか…?」もポイントになってくるかもしれませんね。


10月9日|EU側は激おこ…! - ジョンソンは「わざと怒らせている…?」

 メルケル独首相の『北アイルランドが関税同盟に残らない限り、Brexit(EU離脱)の合意は難しい』との呼び掛けに対し、ジョンソン英首相は『本質的にBrexit合意は不可能』で返答。その上『すでに英政府は交渉終了で準備中』『(離脱延期を認めないよう)EU側は安全保障上の協力停止をチラつかせている』とかぶせており、これにトゥスク欧大統領は『交渉も延期も撤回もせず、何処へ向うというのか』『問われているのは愚かな責任のなすり合いではない』と激おこ状態…。

 こう拗れては、昨日のような“ポンド売り”も致し方ないところです。一旦落ち着いた格好といえますが、昨日の急落で“50日移動平均線(131.008円)”を明確に下回ってしまっています。「売り安心感」がいつ台頭してもおかしくないという、「不安定な地合い」であることは疑いようにないところです。

 もっとも英国では「離脱延期法(19日までにEUと合意し、それを英議会が承認。そうでなければ離脱延期申請を英首相に義務付け)」が成立していますので、拒否すれば“新たな火種(法廷闘争等)”に発展する可能性は否めません。特に今回のように、故意に(わざと?)「EU側の拒否」を引き出そうとすれば、その行為すらも“新たな火種”につながる可能性も…。

 これまでの「思惑の織り込み具合」「ポジションの傾斜具合」を考えれば、短期的には“少し下げ過ぎ”の印象があるのは事実です。しかしまだまだ紆余曲折(一喜一憂)はあると考えておく必要がありそうですね。


10月2日|いよいよBrexit最終案を提出 - どっちに転んでも「混乱は避けられない」…!?

 本日(2日)の英保守党大会終了後、「Brexitの代替案」をジョンソン首相は提出すると伝わっています。EU首脳会議(17-18日)での承認を目指すとされるものの、果たしてどうなるか…?

 ポイントは「アイルランドとの国境問題」と見られるところです。現時点で詳細は伝わってきていませんが、英テレグラフ紙によれば「アイルランド国境に物理的な壁は設けない」との案の模様です。その上で関税同盟からは「移行期間終了時(2021年)に離脱」するが、農産品と工業製品に関しては「4年間留まる」という“ダブルスタンダード”のような案とのことです。

 「EU側に留まるか? or 英国側に従うか?」に関しては、“期間(4年間)終了後に北アイルランド議会が選択”とのことですので、いわゆる“先送り”の誹りは否めないところがあります。それでも“合意”となれば、「合意なきBrexit懸念」に関しては“少なくとも後退”と見るのが自然ということになります。

 ただし英国では、「離脱延期法(19日までにEUと合意し、それを英議会が承認。そうでなければ離脱延期申請を英首相に義務付け)」が先に成立しています。そしてジョンソン首相は「離脱延期は要請しない」と、明言しています。つまり今回の最終案が“合意”に至らなければ(もしくは英議会が承認しなければ)、「新たな火種(法廷闘争等)」に発展する可能性も否めないところがあります。

 「税関や国境検査は必要なし」をメイ前首相は受け入れたものの、英議会は拒否しました。一方で「国境から離れた場所で検査」をジョンソン首相は主張してきましたが、EU側には受け入れられませんでした。EU側とは隔たりが依然として大きいと見られるものの、今回の最終案にて“こじれにこじれた同問題”は解決に向かうのか…?

 どっちに転んでも「混乱(急変動もしくは乱高下)は避けられない」と見て、神経質なマーケットと向き合う必要がありそうです。


9月26日|英議会は再開も、稀にみる大混乱 - 「実現性の伴う方法」を示さない限り…?

 『5週間に及ぶ長期議会閉鎖は違法』との英最高裁判決(24日)は、「合意なきBrexit阻止」もしくは「円滑なBrexit実現に向けた時間的余裕が発生」との見方につながり、“リスク回避の巻き戻し⇒ポンド買い”を誘いました。しかしそうした動きは長くは続かず、再び“リスク回避⇒ポンド全面安”へと押し戻されています。

 昨日(25日)に再開された英議会では「内閣不信任動議提出」についてジョンソン首相が挑発的に煽り、稀にみる大混乱に陥ったからです。不信任動議そのものは「早ければ26日中に提出」と噂されることから“解散⇒総選挙”となる可能性はゼロではありませんが、しかし「Brexit期限(10/31)まで選挙を延期する権限」をジョンソン首相は有しているとされており、先行きは不透明です。

 野党連合+与党の造反組にて“新政権発足”といった裏技も考えられますが、「合意なきBrexit阻止」のみを旗印に“単一首相候補を擁立できるか?”といわれれば、不透明といわざるを得ないところがあります。それでいて「英政府が示すバックストップ代替案は不十分」と複数のEU関係者が示しているように、“EU側の譲歩”は現時点で期待薄です。

 「時間的余裕が発生」との見方はほとんど存在せず、それでいて「合意なきBrexit阻止」も八方塞がりといった状況…。「実現性の伴う方法(新政権発足or国民再投票等)」でも示さない限り、ドタバタ劇は“ネガティブにしか機能しない”と捉えておく必要がありそうです。


9月11日|"隠れた節目"を超えられるか・・・?

 足元で“ポンド買い戻し”が進行しています。背景にあるのは、いわずと知れた「Brexit延期法案の成立」であり、少なくとも「(10月末の)合意なきBrexitはなくなった(可能性はゼロに近い?)」との楽観論といえます。しかしながら「Brexit延期要請を英政府が回避する法的な論拠有」との憶測がまことしやかに流れる中、仮にEU側が3ヶ月の延長を認めたとしても「単なる時間稼ぎ」との見方も少なからず存在しています。「流れに乗れば、なかなか止まらない」がポンド円の修正ではありますが、ファンダメンタルズ的には「まだまだ予断を許さない」といえそうです。

 こうした中“テクニカル的な節目(133.847円)”に、ポンド円は差し掛かりつつあります。日足チャート(ローソク足)を見ると“7/29の大陰線”上ということになりますが、7/29といえば「合意なきBrexit」が強く意識され、「(当時の)年初来安値更新」を見せた日に当たります。つまり急落時のスピードを考えれば“いわゆる真空地帯”ということになりますが、実はもう一つ。“それまでの安値(7/18安値)”とも合致するため、いわゆる“チャートに空いた窓上限(窓埋め水準)”とも該当することになります。

 日足チャート上ではなかなか窺い知ることのできない、この隠れた“窓上限”を巡る攻防。突破できれば“さらなる巻き戻し”が期待される反面、そうでなければ“再反落の急所”としてとらえられる可能性も…?ことの成り行きを見守るしかありませんが、懸念が頭をよぎるということは、頭の片隅に残しておきたいところです。


9月4日|"10月総選挙"の可能性高まるも、しばらくは"乱高下"を強いられる・・・?

 想定通り、夏季休会明けとなる英議会は“大荒れ”の展開でした。「Brexit期限延期(3か月)を求める動議」は、20人近くの造反をもって“可決”されました。本日(4日)からの「審議入り」を経て、「実際の投票(Brexit延期法案)」も“可決”すると見られています。順調にいけば“来週にも成立”ということになるため、「合意なきBrexit懸念」は一応後退との見方から、マーケットは“巻き戻し”に転じています。“8/12以来の安値(126.676円)”へ下落していたポンド/円が“128円半ば”へ、“Brexit国民投票以来の安値(1.19582)”に売り込まれていたポンド/米ドルが“1.21ドル前半”へと急伸したのは、このためです。

 ただしジョンソン首相は「(EU側に)期限延期を求めるつもりはない」と伝わっており、「内閣不信任が示された」と判断している節もあります。このため「来月14日に総選挙実施」へと踏み切る可能性は高く、「政局不透明感」は否めないものがあります。何より昨日も記した「時間のタイト化」は解消されない可能性が高いことから、今後は「EU側の譲歩が必要」という新たなファクターも加わる可能性が指摘されるところです。

 「総選挙を望んでいる」とされる野党・労働党にしても、「コービン党首では総選挙を戦えない(勝てない)」と主張する議員が少なからず存在しています。このため「総選挙」そのものの先行きが不透明といわざるを得ず、仮に実施となっても「後から投票日を先送り(10/31以降に…)」という奇策(禁じ手?)にジョンソン首相が踏み込む可能性もゼロではありません。

 売られ過ぎていた分だけ「“ショートカバー(巻き戻し)”は先行しやすい」とはいえますが、まだしばらくは「不安定な値動き(乱高下)を強いられる」と見ておく必要がありそうです。


9月3日|"合意無き離脱"阻止なるか!? 議会採決に要注目!

 いよいよ本日(3日)、英議会は夏季休会明けとなります。前回記した「ジョンソン内閣の不信任案提出」は一旦棚上げとされたものの、再び混迷を極めつつあります。休会明けの英議会に対して、ジョンソン首相は「翌週(13日)~来月13日まで閉会」との奇策を用い、“審議時間のタイト化”を図ったからです。何らかの働きかけをEU側に行えるのは「EU首脳会議(17-18日)が最後の機会」との見方が一般的なだけに、「合意なきBrexit阻止に向けた動きは封じられた」との見方が再燃しているからです。これを見て“ポンド売り”も再加速しつつあり、ポンド円は再び“128円割れ”へと押し戻されて行きました。

コービン・英労働党党首率いる野党グループとしては、まずはメイ前政権に対して行った「Brexit期限の延期(3か月)法案」を提出すると見られます。しかし当該法案には“致命的な欠陥(強制力なし)”が存在するため、仮に可決したとしてもジョンソン政権が受け入れるかは“微妙(事実上、拒絶…?)”といわざるを得ないところがあります。

こうして次なる手段として、立ち消えになった「ジョンソン内閣の不信任案提出」に再び脚光が当たっているわけですが、与党・保守党の議席数は“(閣外協力も含めて)わずかに1議席”上回っているに過ぎません。このため何人かが造反すればすぐにでも“不信任案は成立”することになりますが、一方でジョンソン首相は「(不信任案成立ならば)来月14日に総選挙実施」で対抗するとしています。このスケジュールだと“(EU首脳会議に向けた)時間のタイト化”は一向に改善せず、「EU側の譲歩が必要」という新たな要素が加わってきます。何よりジョンソン首相は「(造反議員には)除名 or 保守党からの立候補禁止」で対応すると牽制(恫喝?)もしていますので、成立の有無そのものが全く見通せないという状況になりつつあります。

そもそも「政局不透明感」は“ポンド売り”を促す要因ですが、「合意なきBrexit阻止」という視点で見れば“ポンド買い”と捉えられてもおかしくありません。しかし「EU側の譲歩が必要」という条件を加味すれば、“不透明感は変わらず(ポンド売り)”と促されてもおかしくないということになります。

「法案」の可否は“不透明”、それを受けた「マーケットの捉え方」も“不透明”…。「Brexit期限の延期法案(本日26:00~)」の提出後はもとより、思惑が先行しかねない提出前より、“乱高下”には細心の注意をもって、警戒しておきたいところです。


8月27日|ジョンソン政権は内憂外患

 メルケル独首相&マクロン仏大統領の楽観姿勢(Brexit協定案以外の現実的な方策を見つけることに自信)もあり、緩やかな堅調推移を見せているポンド/円。米中懸念に絡んだ昨日(26日)の“リスク回避⇒円急騰”の影響も軽微に留まり、“129円前半”を跨いだ往来相場を続けています。しかしながら「具体的な方法」が提示された訳ではないだけに、ジョンソン英首相に対する“リップサービス(外交辞令)”に過ぎない可能性も否めないところです。

こうした中、前回指摘したように、ポンドのセンチメントを最も的確に表すユーロ/ポンドが“50日移動平均線(本日は0.90424ポンド)”で下げ止まり、“緩やかに戻りを試し”つつあるように見えます。“日足・一目均衡表基準線(同0.91073ポンド)”を越え切れるかが目先のポイントと見られるものの、テクニカル的には再び“センチメント悪化”が窺えるところです。

ファンダメンタルズに目を転じると、少し先の話になりますが、夏季休会明けとなる英議会(来週3日)の冒頭において、「ジョンソン内閣の不信任案が提出」との見方が浮上しつつあります。真偽のほどは定かではありませんが、与党・保守党の議席数は、閣外協力(民主統一党)分を合わせても“(過半数を)わずかに1議席”上回っているに過ぎません。何人かが造反するようなことがあると…?

内(英議会)に、外(EU交渉)に、ジョンソン政権の厳しい政局運営は続きそうです。


8月23日|ジャクソンホールだけじゃない!?ポンドのセンチメントも重要な局面・・・?

『Brexit期限(10/31)までに解決策を見つけることは可能』。メルケル独首相&マクロン仏大統領が示した“前向きな姿勢”を背景に、短期のポンド売りには調整(解消)圧力がかかりました。対ドルでは7/29以来の“1.22716ドル”へ、そして対円では8/1以来の“130.693円”への急伸を見せています。

一方で、期待された“歩み寄り(具体的な要素)”は一切見られておりません。このため前記発言は“大人の対応”の域を出ておらず、「合意なきBrexit」が後退したという訳ではなさそうです。“(リスクを)完全に織り込んだ”という訳でもなさそうですので、あくまでも“思惑のみ(巻き戻しの範囲内)”と見ざるを得ないのが実状といえます。

ポンドのセンチメントを最も的確に表すユーロ/ポンドを見ると、“50日移動平均線(本日は0.90424ポンド)”に到達しています。明確に割り込めば“もう一段の巻き戻し”が懸念される反面、“すでにいい水準まで押した(調整した)”と見ることも可能な形状といえます。

「米金融政策の行方(パウエルFRB議長講演待ち)」にマーケットは釘付けですが、「ポンドのセンチメント(特に短期的な…)」も重要な局面に差し掛かっているといえそうです。


8月21日|「“急反発”見られるも、“下振れリスク”を意識する状況か・・・?」

「アイルランド国境問題のバックストップ(安全策)」を巡る英国側の“撤回要求”に対し、EU側が“拒否”したことが背景に、先週末(16日)に回復してから概ね維持してきた“129円台”を、ポンド円は明確に割り込んでしまいました。その後はメルケル独首相の『(バックストップの)現実的な解決策を考える』発言で“129円台へ急反発”も見られましたが、英-EU間の溝は“現時点では平行線”というのが実状といえそうです。

EU27ヶ国は「バックストップ撤廃に反対」で一致しており、一方の英国は「ジョンソン首相だけでなく、保守党のほぼ全て+DUP(民主統一党:閣外協力)がバックストップには反対」の立場を示しています。妥協する可能性は“限りなく低い”といわざるを得ず、それでいて“Brexit期限(10/31)”は刻一刻と迫りつつあります。

「仏G7首脳会談(24-26日)」を前にして、本日より「英独首脳会談(21日)」「英仏首脳会談(22日)」が行われます。ここで“(何某かの)合意” “(少なくとも)歩み寄り”等が見られるようなことがあれば、昨日のような“急反発”となる可能性はゼロではありません。しかしながら現時点では、やはり“下振れリスク”を意識せざるを得ないという状況になりそうです。「合意なきBrexit」へのリスクを“完全に”織り込んでしまうまでは…。


8月14日|「もう一段の巻き戻し」に期待かかるが、現時点では“戻り売りのチャンス”…?

2016年11月3日以来の“126.531円”へと売り込まれた後、「米中通商懸念の後退⇒リスク回避の巻き戻し⇒円売り」の流れに乗り、“129.219円”へと切り返したポンド/円。6日時点のシカゴIMMポジションを見ると、ポンド売りは「8週連続で積み上げ」「2017年4月以来最大規模(102,702枚)」となっていることを考えれば、“もう一段の巻き戻し”も十分に期待されるところです。

しかしこの行く手を阻んでいるのが、こちらも「金利先安観(英利下げ観測)」といえます。昨日発表された「英雇用統計・失業保険申請件数」は“予想を上回り(+2.80万人)”、「同平均賃金」は“2008年6月来の高い伸び(+3.7%)”を示しましたが、これを背景にしたポンド買いは目立ちませんでした。これは“消費行動”が関係していると考えるのが自然です。

前回・前々回の「英CPI」は、共に“誘導目標に合致(前年比+2.0%)”していました。“そう悪くない数値”といえますが、しかし賃金の伸びに比べると“たいしたことない(それほど活発ではない)”といわざるを得ないのが実状であり、本日(14日)予定される7月分に至っては“幾分低下(+1.9%)”も予想される始末です。Brexitを控えた“慎重な消費行動”の可能性が高く、“急激な改善は期待薄”と見ざるを得ないところがあります。これが金利先物における「英年内利下げ観測:70%超(月初は50%)」につながり、冒頭の「ポンド売りの積み上げ」に波及したと見るのが妥当ということになります。

ポンド円の習性の一つに「動き出したら(なかなか)止まらない」がありますので、場合によっては“急騰(急激な水準回復)”があるかもしれません。それでも現時点では“一時的”と考え、“戻り売りのチャンス”と捉えるべきかもしれません。


7月30日|「合意なきBrexit」再燃、急落するポンド

ようやく始動…。

「噂で売って、事実で買い戻す」がジョンソン新首相選出後に先行したポンドでしたが、前回の当欄で記したように、「時間の経過」と共に「合意なきBrexit」が再燃しています。

ジョンソン戦時内閣の主要メンバー・ゴーブ国務相&ラーブ外相は29日、『「バックストップ(アイルランド国境問題の安全策)案の破棄」をEUが認めなければ、「合意なきBrexit」の準備を急ぐしかない』と述べました。『「合意なきBrexit」がジョンソン戦時内閣のメインシナリオ』との見方が急速に強まりつつあり、ポンド/円は“年初来安値”を更新、ポンド/米ドルは“2017年3月来の安値”へと売り込まれています。

「急過ぎる下落スピード」を鑑みれば、「幾分往き過ぎ」との印象が頭をよぎるのは事実です。このため「応分の巻き戻し」も期待されるところですが、一方でこうした展開になると「なかなか止まらない」「往くところまで往ってしまわないと…」といった動きになりやすいのも、ポンドの特性として上げられるところです。

“心理的な節目(大台)”を除けば、テクニカル的なポイントとなり得るのは、ポンド/円だと“16/11/10安値(130.273円)”、ポンド/米ドルだと“17/1/17安値(1.20179ドル)”、そして最もポンドの方向性を左右するユーロ/ポンドだと“17/8/31高値(0.92365ポンド)”辺りが考えられるところです。

いずれも「結構な値幅」がまだ存在しており、そして「そこで止まる」という保証もありません。後は流れ次第ですが、「幾分往き過ぎ」との印象はあるものの、現時点では「しっかり止まる(流れが変わる)まで、安易な買い拾いは危険」と考えながら神経質なマーケットと向き合う必要がありそうです。

7月24日|“上値が重い”ポンド もうしばらくは膠着か

頭の片隅を過ぎったのは事実ですが、まさか本当にそうなるとは…。

想定通り、英保守党党首選は「ジョンソン候補の圧勝」に終わりました。そして「バックストップ案破棄」「Brexit協定案をEUと再交渉」を同氏が掲げていただけに、「合意なきBrexitリスクが高まる」との見方が大勢を占めました。しかしながら結果発表直後(日本時間23日20時過ぎ)の動きは、「知ったら終い」「噂で売って、事実で買い戻す」でした。

もっともこうした動きは、「首相就任後の動向が不透明」「このため一旦買い戻し」となった可能性が高いと見られます。このため“上値が重い”は相変わらずであり、そして「(合意の有無にかかわらず)期限(10/31)内のBrexit実現」を公約として掲げているだけに、「EUとの協議で妥協が先行する展開は期待薄」、つまり「懸念が払拭したわけではない」と見るのが自然です。

マーケットの目は「ユーロ(ECB理事会:25日)に向かう」と見られるだけに、もうしばらくポンドは膠着するかもしれません。しかし「合意なきBrexitを再認識」するにつれて、つまり「時間の経過」と共に、“ポンド売り”はいつ息を吹き返してもおかしくないと見たいところです。

7月23日|ジョンソン前外相の勝利は“ほぼ確実” 急変動への警戒を怠りなく

いよいよ本日(23日)、英保守党党首選の結果が出ます。結果が出るまでは何とも言えませんが、「ジョンソン前外相の勝利は“ほぼ確実”」と見られ、マーケットもそれを“織り込んでいる”感があります。このためややもすれば“波乱なし(動意薄)”となる可能性はゼロではないことになりますが、そうは問屋が卸さない面があるのが、Brexit問題の難しいところです。

前回の当欄で記したように、「バックストップ案(アイルランド国境問題を巡る安全策)の破棄」「(EUが強硬に拒絶する)Brexit協定案の再交渉」が表明されており、これを見たマーケットは“フライング気味”にポンド売りへと傾斜しました。その後はバルニエ首席交渉官の『バックストップ代替案を議論する用意』発言で一応は落ち着きましたが、本日の発表で“蒸し返される(合意なきBrexitを再認識)”可能性は否めないところです。

もちろん「英議会が夏季休会(新首相就任翌日~9月2日)」というスケジュールを考えれば、目立つ悪材料さえ跳び出さなければ「噂で売って、事実で買い戻し」といった反応を見せる可能性はゼロではありません。しかしガーク司法相などは「バックストップ案破棄に反対、ジョンソン政権誕生ならば辞任」と表明し、ハモンド財務相/ダンカン欧州担当相はすでに昨日「辞表を提出」と報じられています。(現メイ政権の)閣僚辞任が加速しつつある中、織り込み済とはいえ「知ったら終い(無風通過)」となり得るのか…?

あとは“結果次第”ということになりますが、“急変動への警戒”を怠らないようにしつつ、“細心の注意”を払いながら、“いつ流れるかわからないヘッドライン(発表時間未定)”に備えたいところです。

7月17日|マーケットの動きは"フライング気味"。しかし、買い拾いには細心の注意を

英保守党・党首選(事実上の英首相選)はまだ決着していませんが、マーケットは“フライング気味”に動き始めました。

ジョンソン前外相 / ハント外相は昨日(16日)、EU-メイ首相間で合意した「バックストップ案(アイルランド国境問題を巡る安全策)」に関して、“破棄する方針”を双方ともが表明しました。これでどちらが選出されても「(EUが強硬に拒絶している)Brexit協定案の再交渉」、そして「(現協定案の軸を構成する)バックストップ案の撤回」をEUに呑ませる必要が生じることになります。

一方でBrexit期限は“10月末”。それまでにこれらをまとめるのは、事実上“困難(ほぼ無理…?)”と見るのが自然です。必然的に“合意なきBrexitリスク”は高まり、“ポンド売り”は増幅していきました。

冒頭で記したように、昨日の動きは“フライング気味”であり、少々“下げ過ぎ”の印象も否めません。このため“応分の戻り”も期待されるところですが、ただ気にしておきたいのは前回も記した「対ユーロ(EUR/GBP)」の動向です。
5月に突破して以降、対ユーロでは“20日移動平均線(現在は0.89666ポンド)”を支持ライン(ポンド売りの要所)として機能させ続けてきました。これを機能させたまま、昨日は上値を押さえ込んできた“心理的な節目(0.90ポンド)”を明確に突破してきています。“(ポンドの)下振れリスク”はさらに膨らんだ可能性が否めず、そうやって見ると対円も“フラッシュクラッシュ時の真空地帯”に入り込んでしまったことが窺えます。

“一方通行”な動きはありませんので、「下げたものは戻る」がマーケットの基本です。それでも“安易な買い拾い(応分の戻り)”を狙うには、現時点の材料では“細心の注意”を持つ必要がありそうです。

7月10日|ユーロ/ポンドの上昇に見る”ポンド売り圧力の減退”。本日の指標がポンドの目先の命運を握るか

事実上の次期首相選びとなる英保守党・党首選は、Brexit強硬派とされるジョンソン前外相が選挙戦を優位に進めているとされます。「強気一辺倒路線を和らげる」ような発言も見られていますが、これは「Brexit穏健派の支持を得るための戦略(方便)」との見方が一般的であり、“センチメント悪化”を巻き戻すほどの勢いは見られておりません。

一方で当該発言を背景に「Brexit強硬派から相応が離反」との指摘もありますが、これを「(対抗馬である)ハント政権誕生⇒合意なきBrexit懸念後退」につなげるのは明らかに飛躍し過ぎです。このため“センチメント改善”を囃すのも、やはり往き過ぎということになります。「米利下げ観測」を背景にマーケットは揺れ動いていますが、「Brexit関連」でマーケットが動意づくのは、やはり「もう少し後」ということになりそうです。

それでも「英ポンド(GBP)」という通貨の観点で見ると、少々“動意づきそう”な気配が漂い始めています。ポイントは“ポンドのセンチメントを最も的確に反映”するとされている「ユーロ/ポンド(EUR/GBP)」の動き方です。

「ユーロ/ポンド」は“心理的な節目(0.90ポンド)”に近づくにつれて、その勢いを弱めてきました。「ユーロ/ポンド」の上昇は“ユーロ買い/ポンド売り”を意味しますので、“勢いを弱める(上値が重い)”はすなわち“ポンド売り圧力の減退”を意味します。一方で「ユーロ/ポンド」は、5月に突破して以降“20日移動平均線”を支持ライン(ポンド売りの要所)として機能させて来ました。同線が本日展開するのが“0.89441ポンド”、つまり前記節目との差は“わずか55pips”ということになります。テクニカル的には「かなり煮詰まってきた」状況であり、「いつこの均衡状態が崩れても(どちらかに跳ねても)おかしくない」という状況でもあります。

本日(10日)は「パウエルFRB議長の議会証言」にばかり目が向いていますが、英経済指標としても「GDP/貿易収支/鉱工業生産指数/製造業生産指数(いずれも17:30発表)」と数多くの発表が予定されています。そしてこれらが下振れるようなことがあると、「英中銀(BOE)の早期利下げ観測」が増幅する可能性もあります。

どちらに抜けるかは「結果次第」ということになりますが、対円・対ドルを含めた「ポンドの目先の命運(方向性)を握っている」といってもいいのかもしれません。

6月11日|ポンド買戻しを見せるも、「憶測(疑念)合戦が再燃」か

メイ首相の後任を決める英保守党党首選が、いよいよ始まります。立候補受付は昨日(10日)締め切られ、ジョンソン前外相・ゴーブ環境相・ハント外相など総勢10人が名を連ねました。13日から始まる同党下院議員投票(313人)にて「2人に絞るまで」ふるい落とされ、7月第4週に行われる決選投票(全党員が対象、十数万人規模)にて選出される予定となっています。

新党首が選出されるまでは「(Brexit交渉は)棚上げが基本」ですので、「(英議会の混乱は)しばらく露呈しない」との思惑につながったのは事実です。これが「(先週からの)ポンド買い戻し」につながった要因の一つといえますが、しかし党首選がスタートしてしまえば「憶測(疑念)合戦が再燃」しても何ら不思議ではありません。

もう一つ、Brexit問題に起因する「実体経済への波及」がそろそろ表面化しつつあります。昨日(10日)発表された英4月GDPは「2ヶ月連続の低下(-0.4%)」でしたが、構成項目の一つである自動車は「1995年の統計開始来最大の落ち込み(-24.0%)」を記録しました。Brexit直後の混乱を避けるための「生産ライン停止」が影響したと見られますが、「その判断の取り止め(とりあえずBrexitは10月末に延期されましたので…)」までは時間的な余裕がありませんでしたので、来月以降も影響する可能性が拭えないところです。さらに英4月貿易収支は「予想を上回りました(-121.13億ポンド)」が、内訳を見ると「輸出:2006年9月来最大の落ち込み(-10.9%)」「輸入:1998年の統計開始来最大の落ち込み(-14.4%)」とかなり落ち込んでいました。こうした状況下で「憶測(疑念)合戦が再燃」するようなことがあると…?

「棚上げが基本」を考えれば、「(懸念噴出は)まだ先」「もうしばらく膠着」と見ることは可能…。しかし「選挙は水物」でもあり、先を読むのは容易ではありません。「動意づく」に関しては、そろそろ警戒しておいた方が良さそうに思います。


5月24日|3連休を控えた週末 メイ首相が辞任を表明

欧州議会選次第では「メイ首相辞任も…?」と昨日記しましたが、その結果が出る前に「現実のもの」となりつつあります。

英タイムズ紙は昨日(23日)、「メイ首相は24日に辞任を表明」と報じました。詳細は不明ではあるものの、マーケットはすでに“ポンド売り”にて反応しています。

Brexit問題を迷走させた「責任論」が噴出しているだけに、求心力を失った首相の交代劇は“ある意味で追い風(ポンド買い戻し)”と捉えることは可能であることは事実です。しかし懸念した「(Brexit強硬派で知られる)ジョンソン前外相が次期首相」との思惑が意識されている模様であり、ポンド/米ドル(GBP/USD)は「フラッシュ・クラッシュ(1月3日)以来の1.26ドル付近に下落」、ユーロ/ポンド(EUR/GBP)は「過去最長の14日間に続伸」と、“ポンド売り”は顕著といえます。

もっともテクニカル的には、「下落往き過ぎも顕著」といわざるを得ないところがあります。それでいて本日は、「3連休を控えた週末(スプリング・バンク・ホリデーで27日は英国市場休場)」となります。前記「メイ首相の辞任表明」次第では“もう一波乱”となる可能性は否めないものの、「(仮に表明されたとしても)一旦の悪材料出尽くし(買い戻し先行)」といったシナリオは、頭の片隅に入れておくべきか…?


5月23日|欧州議会選(23~26日)がポンド相場に与える影響

EU離脱(Brexit)を巡る協定案について、メイ英首相は「新提案(国民投票実施の是非ではなく、実施に向けた採決を行うことの是非を問う議論を行う)」を示すことで、“4度目の議会採決(6月第1週予定)”を乗り切ろうと考えました。しかしながらその目論見は脆くも崩れ、Brexit強硬派(与党・保守党)のみならず、EU残留派からも強い不満が漏れています。昨日には『政府の姿勢は支持できない』として、すでにレッドソム下院院内総務は辞任するに至っています。

こうした状況下、本日より欧州議会選が行われます。「EUの議員」を選ぶ選挙ですので、基本的には「英国内の政治からは切り離される」というのが前提になります。しかし現状は「Brexitを巡る方向性が一向に決まらない」という中で行われますので、「英国内政治に影響を及ぼすのは必至」と見られるところです。同選挙日程は“26日まで”とされますが、英国の投票日は“23日のみ”。つまり「さっそく本番」ということになります。

世論調査で支持率を見ると、与党・保守党は“わずかに10%”、しかしながら野党・労働党も“16%程度”しかありません。支持率を伸ばしているのは「強硬なEU離脱」を掲げる新党・Brexit党(約34%)であり、どこまで信憑性があるか?は定かではありません。それでも下馬評通りであれば「与党惨敗」は十分に考えられるところであり、そうなると混乱を招いた「新提案」どころの騒ぎではなく、「メイ首相辞任」という事態に転ずる可能性も十分に考えられるところです。

「政局不安」という側面はあるものの、求心力を失った首相の交代劇は“ある意味で追い風(ポンド買い戻し)”と捉えることも可能です。しかし次期首相と有力視されるジョンソン前外相は「Brexit強硬派」で知られていますので、「合意なきBrexitも辞さず」となるリスクが意識されると“強烈なポンド売り”となる可能性も…?


4月11日|「ポンドの足場は極めて不安定」

「離脱延期案(政府案)」は、大方の予想通り“可決(412対202)”されました。ただ「国民投票・再実施に必要な時間を確保するため(85対334)」「合意に向けて複数の案を検討するため(312対314)」「政府案以外のアプローチを画策するため(302対318)」といった動議はことごとく“否決”されており、そして残った「6月末まで延期要請」という政府案には「EU首脳会議前(つまり3/20まで)にBrexit協定案の可決が必要」という前提がついてます。つまり「6月末まで延期」というのは、現時点で「“決定”したわけではない」ということになります。

「20日までの協定案可決」の行方は、依然として不透明といわざるを得ません。そしてできなければ「(さらに先への)延期要請が必要」ということになりますが、その際には「(5月下旬に予定される)欧州議会選に、英国は参加義務が生じる」といったことにもなりかねません。英国-EU共に、さらなる「混乱は必至」と見られる所以です。

材料出尽くしもあって、現在のポンド相場は落ち着いているように見えます。しかしBrexit協定案が可決できない限り(しかも20日まで…)、「ポンドの足場は極めて不安定」は続くと見ておく必要がありそうです。


3月28日|IndicativeVOTE(示唆的投票)、8つの動議全てが否決

「合意なき離脱」「関税同盟」「国民投票の再実施」等…。「Brexit協定政府案(以下、政府案)」の代替を探るべく行われたIndicativeVOTE(示唆的投票)では、8つの動議全てが“過半数を得られない(つまり否決)”という結果に終わりました。いわゆる人気投票(拘束力なし)でもまとまらないというグダグダ感には、『いったい何がしたいのか…?』といいたくもなる状況といえます。これを見たメイ首相は『政府案が承認されれば辞任』と、進退をかけて勝負に出た印象がありますが、依然として“先行きは不透明”といわざるを得ないのが実状といえます。

『強硬派の一部が政府案に翻意』とも伝わっていますが、大敗(149票差)を喫した2度目採決から巻き返すのは容易ではありません。なにより『3度目の採決は29日』とも伝わっているものの、『過半数の賛成を得られるメドが立てば…』という前提もついているとされています。

多くの英下院議員は反対していますが、何も決まらないまま4/12(EU側が示した期限)に向かえば「合意なきBrexit」は避けられない…。そうならないようにするには打開策を見つける必要がありますが、現時点では見つかっていない…。仮に見つかったとして、それをEU側が認めるかはわからない…。

すでに「政府案合意によるBrexit(さらなる修正は入るのでしょうが…)」「合意なきBrexit」の二択に絞られた印象はありますが、「Brexit交渉のやり直し」、「解散・総選挙」「国民投票の再実施」といった時間稼ぎ、「Brexitを撤回」というサプライズが土壇場で跳び出す可能性はまだゼロではありません。結果が出るまで『方向感は定まらない』は続きますが、その分『ヘッドラインで揺れ動き(乱高下)』も続くと見ておく必要がありそうです。


3月19日|「EU首脳会議前の協定案・可決」極めて困難に

メイ英政権が描くシナリオ(青写真)が、ここにきて大きく狂いました。『大きく内容を変えない限り、すでに否決された協定案を再採決することはできない』とのバーコウ英下院議長発言は、「EU首脳会議前の協定案・可決」を極めて困難にしたからです。元々「2度目(12日)の票差:149票を埋めるのは簡単ではない(75票の造反が必要)」との見方が優勢だったとはいえ、「合意なきBrexitへ追い込まれるリスク」が再燃しつつあるのは、否めないところです。

もちろん「議会を停止⇒新たに会期スタート」「特例として再採決」といった裏ワザが駆使される可能性や、「国民投票の再実施」「解散・総選挙」等の抜け道をつかって“延期を模索(懇願?)”といった可能性も残っていますので、現時点ではそこまでリスク回避姿勢が進行しているわけではなく落ち着いていますが、ただ「イタリアを含む、EU数ヶ国はBrexit延期に難色」との見方も加わっていますので、ポンドの“センチメント悪化”は否めないところです。

まずは前記「裏ワザ/抜け道が跳び出す」可能性を鑑み、次いで「(手続きに必要な間の)延期がEU首脳会議で決定される」をケース期待しながらも、「リスク要因に振り回される」は十分に想定しておく必要がありそうです。


3月15日|「(英国-EU共に)さらなる混乱は必至」

「離脱延期案(政府案)」は、大方の予想通り“可決”されました。ただ「国民投票・再実施に必要な時間を確保するため」「合意に向けて複数の案を検討するため」「政府案以外のアプローチを画策するため」といった動議はことごとく“否決”されており、残った「6月末まで延期要請」という政府案のみです。しかしこの政府案には「EU首脳会議前まで(つまり3/20まで)に、Brexit協定案の可決が必要」という前提がついています。つまり現時点では「6月末まで延期が“決定”したわけではない」ということになります。

「20日までに協定案可決」の行方については、依然として不透明といわざるを得ません。そして可決できなければ、「(さらに先への)延期要請が必要」ということになってきますが、その際には「(5月下旬に予定される)欧州議会選に、英国は参加義務が生じる」といったことにもなりかねません。また「EU側が了承(承認)する保証もない」という状況だけに、「(英国-EU共に)さらなる混乱は必至」と見られる所以です。

材料出尽くしもあり、現在のポンド相場は落ち着いているように見えます。しかし「Brexit協定案が可決できない限り(しかも20日まで…)」、ポンドの足場は「極めて不安定」という状況は続くと見ておく必要がありそうです。


3月14日|「次なるステージ(離脱延期案)」へと移行し“さらに複雑化”

“大方の予想通り”、注目の「合意なきBrexit案」は“拒否”されました。しかも直前に出された修正動議が通ったことから、当初の「3月末離脱に拒否」に留まらず、「いかなる状況でも拒否」へと度合いを増しています。このため“大方の予想通り”であるにもかかわらず、ポンドは急伸しています。

こうして「次なるステージ(離脱延期案)」へと移行したわけですが、“さらに複雑化”したことはいうまでもありません。まず本日の採決は“可決(延期案を承認)”で疑いようがないと見られますが、EU側からすれば譲歩した修正案を“無下に否定された”格好になりますので、「延期要請を受け入れない」となってもおかしくないからです。さらに裏側では、「メイ政権不信任案」「再度の国民投票提案」といった思惑も依然として燻っています。

「合意なきBrexit」に対するリスクが和らぎつつあるのは事実ですが、「不意の欧州要人発言」等による乱高下(紆余曲折)も、十分に想定しておく必要がありそうです。


3月13日|否決により「合意なきBrexit案採決」ステージへ

注目の「Brexit修正協定案を巡る採決(meaningful vote)」は“否決(賛成:242、反対:391)”されました。事前の思惑により、採決前から“上を下への乱高下(実に3.2円の往って来い)”を演じたものの、“大方の予想通り”ということもあり、採決後は“比較的静か”な動きに留まっています(それでも瞬間的に1円強は動きましたが…)。前回(1月15日)と比べて“反対票は減りました(432票⇒391票)”が、“否決”されたという事実は変わりませんので、これで「合意なきBrexit案採決」へステージ移行した格好になります。

「合意なきBrexitを望む人はそうはいない」と見られますので、“昨日以上に否決に傾斜(実に90%超)”というのが大方の予想です。つまり“昨日ほどの動意は望めない”と見るのが自然ということになる反面、 “可決された際のインパクトは強烈”と見ておく必要があるということになります。

本日は「一時の骨休め」の様相を見せていますが、まだまだ「紆余曲折の可能性有」と見ておく必要はありそうです。


3月12日|Meaningful Vote

いよいよ本日(12日)、「Brexit修正協定案を巡る採決(meaningful vote)」が英下院にて行われます。1月15日の採決では「歴史的な大差(反対432:賛成202)で否決」となった同協定案ですが、その時と比べても「バックストップ(アイルランド国境問題)の扱い」「合意なきBrexit排除の有無」はほとんど進展していないのが実状といえます。予定されていなかった「メイ首相、渡仏してユンケル委員長と会談」との報からポンド買い戻しが加速していますが、結果判明まで「不安定な値動きが続く」と見るのが自然といえます。

現時点におけるマーケットのコンセンサスは、「Brexit修正協定案は否決(12日)⇒合意なきBrexit支持を否決(13日)⇒離脱延期を可決(14日)」になります。しかし「Brexit強硬派が受け入れるかは微妙」「(閣外協力で支える)民主統一党のスタンスも不明」は何ら変わっておらず、何より期待される「離脱延期を可決」につながったとしても、その過程である「Brexit修正協定案が否決」では“昨日の合意前より状況悪化⇒ポンド売り”と捉えられる可能性もゼロとはいえません。

もう一つ、「離脱延期を可決」につながったとしても、その期限は「当初の想定(6月末)」ではなく、「欧州議会選・投票日(5月23-26日)前」と伝わっています。つまり猶予期間は「わずか2ヶ月強」、それで「最終合意に到達できるか」…?

本日・明日・明後日が“一つのヤマ場”であるのは事実ですので、「結果次第で乱高下」は十分に想定しておく必要があります。ただそこで出された結果をもって、「今後の方向感は定まる」と見るのは、まだ早いかもしれませんね。