マネパの英ポンド特集

英ポンド 特別コラム

2020/07/10
チーフアナリスト 武市佳史

7月10日|「分水嶺に急接近中」 - ユーロ/ポンド

 昨日の“リスク回避姿勢”は、めずらしく“円買い”で反応しました。しかもリスク通貨に対するのみならず、ドルに対しても“円買い”が進行しました。この影響にてクロス円は“全面安”の様相を示しており、ユーロ円や豪ドル円は“今週初安値”をそれぞれ割り込みました。一方でポンド円は“押し戻され”こそしていますが、“今週初安値”からは程遠い(およそ50pips)水準にて下げ渋っています。

 バルニエEU首席交渉官は昨日、『英国との間には、依然として大きな隔たりあり』と発言しています。これは“ポンドのセンチメント”を悪化させ得る材料といえますが、現時点ではそうは動いておりません。これはポンドのセンチメントを最も的確に表すユーロ/ポンドが、7日に突破した“心理的な節目(0.90ポンド)”を維持し、さらに“下方向(ポンド高)”へと推移していることからも窺えます。

 こうした状況下、来週初(13日)にユーロ/ポンドの日足では「雲のネジレ」が発生します。「転換のシグナル」との見方が存在する反面、「急変動のサイン」との見方も存在する当該「雲のネジレ」…。個人的には「後者(急変動のサイン)」を期待していますが、 いずれにしてもその他通貨と一線を画すポンドにとっても「分水嶺に急接近」との認識は持っておきたいところです。


7月8日|ファンダメンタルズは芳しくないが、テクニカルは…?

 「コロナ感染第2波」「ハード・ブレグジット懸念」等、ファンダメンタルズ面でポンドを押し上げる要因は“皆無”といった状況は続いています。一方で前回記した「ネックライン(6/23高値:133.981円)」を突破したことで、テクニカル面では“下値の堅さ”が顕著になりつつあります。

現時点で特段の進展は見られていない「英国-EU間の交渉(集中協議)」を考えれば、過度の上値期待は禁物といえるかもしれません。しかしポンドのセンチメントを最も的確に反映するユーロ/ポンドを見ると、“日足・一目均衡表基準線&20日移動平均線(0.90202-191ポンド)”を下抜け(ポンド高)ており、ポンド全体を押し上げる要因として機能している印象があります。

ポンド円の次なる上値メドと見られるのは“日足・一目均衡表基準線(同135.744円)”、そして“6/16高値(136.342円)”です。センチメントは揺れ動いて(リスク選好⇔リスク回避)いますが、“もう一段の上値追い”が期待できる局面と見るべきか…?


7月1日|どちらに抜けるか…?

 ジョンソン英首相が公表した『50億ポンドのインフラ投資計画』を背景に、昨日はポンドが“最強通貨”となりました。バルニエEU首席交渉官の『通商合意は可能』『合意に向けて努力している』との発言も“後を押した”印象があり、6/23以来となる“133,950円”まで反発しました。もっともその後は「利益確定売り」等を背景に、“132.979円”へと押し戻されています。  昨日の反発にて、テクニカル的には「ダブルボトム(6/22安値:131.754円-6/29安値:131.946円)」を形成した格好になります。一方で“前記高値(133.950円)”は、「ネックライン(6/23高値:133.981円)」に押し戻された格好になります。

「どちらに抜けるか…?」 が、ポンドの“次なる方向性”を探る上では、極めて重要になってきそうです。


6月30日|「仕掛け的なポンド売り」への懸念は残るが、逆に「急反発リスク」も…?

 いよいよ本日(30日)、「ブレグジットの移行期間」を延長するための申請が“最終日”を迎えます。すでに英政府は「延長申請はしない」と通告し、EU側も「合意」している内容ですので、もしかしたら大したことはないのかもしれません。しかし遅くとも10月末まで(EU27ヶ国全てが批准する手続き等に2ヶ月程度の時間が必要)に「妥協点を見い出す」必要があり、それができなければ「ハード・ブレグジット」が現実のものとなります。「センチメント」は悪化しやすく、「仕掛け的なポンド売り」が発生してもおかしくない状況ともいえます。

しかし英国-EU間の交渉は昨日(29日)からすでに始まっており、それもこれまでの「テレビ会議」ではなく、相手の表情・空気を感じることができる「対面型」に変更されています。こうした中で“下げ渋り”を見せると、「交渉進展」を期待した“ポンド買い”が跳び出してもおかしくありあません。

テクニカルを見ると、対円・対ドル共に“日足・一目均衡表先行スパンの雲上限(本日は131.809円/1.22890ドル)”が迫っています。 “突き抜ければ(潜り込めれば?)”話は変わってきそうですが、そうでなければ…?

 「センチメント」は悪化しやすく、「仕掛け的なポンド売り」への懸念も残りますが、「急反発リスク」が潜んでいることも、頭の片隅に残しておきたいところです。