マネパのアメリカ大統領選特集2020

アメリカ大統領選挙について

2020/02/20
マネーパートナーズ

今年の11月3日に、アメリカ大統領選挙の本投票が実施されます。11月の本投票に向けて注目の高まっていく大統領選挙について、その仕組みやスケジュール、ポイントとなる点、既に実施された予備選挙での民主党有力候補などについて説明します。

立候補&投票の条件

アメリカ大統領として立候補できる(=被選挙権を有する)人は、35歳以上の米国籍の保持者で、かつ14年以上米国に住んでいることが条件です。

一方、投票できる(=選挙権を有する)人は18歳以上の米国籍保持者です。なお、日本のように住民票を基に自動的に投票用紙が送られてくるのではなく、自分の住んでいる場所の選挙管理委員会に申請し、選挙人名簿に登録してもらう必要があります。

立候補に際しては無所属でも立候補できますが、州によっては二大政党の公認候補以外には事前に一定の有権者の署名を集めることが義務付けられていることもあります。

公認候補1名を決めるための予備選挙・党員集会

アメリカの大統領選挙は、2-6月の予備選挙・党員集会、7-8月の全国党大会、11月の本投票(大統領決定)と段階を踏んで進んでいきます。まずは各政党が公認候補1名を決定する全国党大会(7-8月)に向け、その投票者(=代議員)を決めるための予備選挙(Primary)ないしは党員集会(Caucus)から始まります。予備選挙・党員集会は、有権者が自分たちの意見を代弁する代表者を選び、その代表者が有権者に代わって投票する「間接選挙」です。この、有権者に代わって投票を託された代表者の事を、「代議員」と呼びます。

各党の代議員候補たちは事前に投票する公認候補(つまり大統領候補)を表明していますので、有権者は自分が大統領に選びたい候補者を支持している代議員に投票することになります。この代議員を選出するまでに、まず数カ月が掛かります。

選出された代議員たちは、全国党大会(7-8月)に出席し自分の党の公認候補を選びます。この時投票する先は事前に表明していた候補や、党大会での議論の結果決まった候補になりますが、一部、自分の自由意思で投票先を決められる「特別代議員」という人も存在します。

直接大統領を選ぶ本投票

予備選挙・党員集会を経て全国党大会で各党の公認候補が決定すると、いよいよ本投票です。本投票は、有権者が直接大統領を選ぶ「直接選挙」となります。
州ごとに得票結果が集計され、多くの場合その州で最大の得票をした候補者が、その州にあらかじめ与えられているポイント、選挙人団(electoral college)を勝ち取ります。

選挙人団は全州を合計して538ポイント振り分けられており、当選するためには過半数の270ポイントを勝ち取る必要があります。州によって選挙人団のポイント数は異なり、最大はカリフォルニア州の55ポイント、次点がテキサス州の38ポイント、三番目がフロリダ州ならびにニューヨーク州で29ポイント……という具合に続きます。アラスカ州やモンタナ州のような人口の少ない州は3ポイントしか配分がありません。

州ごとのポイントを競うため、もし全有権者の投票結果を足しあげた合計でA候補者が上回っていたとしても、B候補者の方が選挙人団のポイント数が多い場合、B候補者が勝利し、大統領となります。

アメリカ大統領選 各州の支持傾向
画像出典:Wikipedia

ちなみに、ポイント最大のカリフォルニア州と三番目のニューヨーク州は近年「青い州」と呼ばれています。青は民主党の色、つまり民主党を支持する傾向がある州ということです(一方、共和党を支持する傾向がある州は、共和党のイメージカラーから「赤い州」と呼ばれます)。

このカリフォルニア州とニューヨーク州を合計しただけで84ポイントもあるので、民主党はこの2つの州により大きくリードできることになります。しかし、東海岸・西海岸に面していない内陸の州では、ほとんどの州が共和党支持であり、そこに民主党が喰い込むことは困難です。つまり、アメリカが「真ん中」と「両端」に文字通り分断された構図となり、にらみ合っている格好です。

共和党・民主党の特徴

近年、アメリカの政治は二極化が進んでいます。共和党支持者と民主党支持者はお互いにガッチリと自分の政治的思想を持っており、立場を翻すことは極めて稀です。

共和党支持者のキーワードは保守的、ビジネス寄り、堕胎反対、LGBT反対などがあります。
民主党支持者のキーワードはリベラル、ビッグ・ビジネスを嫌う、公民権運動に積極的、移民に賛成、格差問題に敏感、などがあります。

スケジュール

2大政党の公認候補について、共和党は現職であるトランプ大統領が再出馬する公算が高いため、実質的に「民主党が誰を公認候補に選ぶのか?」がポイントとなります。

民主党の主な党員集会と、予備選挙の予定は以下の通りです。

2月~4月
2月3日
アイオワ党員集会 (41代表)
2月7日
大統領候補テレビ討論会(第8回)
2月11日
ニューハンプシャー予備選挙(24代表)
2月19日
大統領候補テレビ討論会(第9回)
2月22日
ネバダ党員集会 (36代表)
2月25日
大統領候補テレビ討論会(第10回)
2月29日
サウスカロライナ予備選挙(54代表)
3月3日
スーパーチューズデー
アラバマ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ユタ、バーモント、バージニア予備選挙、アメリカン・サモア党員集会 (1358代表)
3月10日
アイダホ、ミシガン、ミシシッピ、ミズーリ、ノースダコタ、ワシントン予備選挙(352代表)
3月14日
北マリアナ諸島党員集会(6代表)
3月17日
アリゾナ、フロリダ、イリノイ、オハイオ予備選挙(577代表)
3月24日
ジョージア予備選挙(105代表)
3月29日
プエルトリコ予備選挙(51代表)
4月4日
アラスカ、ハワイ、ルイジアナ、ワイオミング予備選挙・党員集会(106代表)
4月7日
ウィスコンシン予備選挙(84代表)
4月28日
コネチカット、デラウエア、メリーランド、ニューヨーク、ペンシルバニア、ロードアイランド予備選挙(663代表)
5月~11月
5月2日
インディアナ予備選挙(82代表)
5月12日
ネブラスカ、ウエスト・バージニア予備選挙(57代表)
5月19日
ケンタッキー、オレゴン予備選挙(115代表)
6月2日
モンタナ、ニュージャージー、ニューメキシコ、サウスダコタ、ワシントンDC予備選挙(210代表)
6月6日
USバージン諸島党員集会(7代表)
7月13~16日
ミルウォーキーで民主党大会(=ここで民主党公認候補が決まります)
8月24~27日
シャーロットで共和党大会
9月29日
大統領候補TV討論会 サウスベンド・インディアナ
10月7日
副大統領TV討論会 ソルトレイクシティ
10月15日
大統領候補TV討論会 アンアーバー・ミシガン
10月22日
大統領候補TV討論会 ナッシュビル・テネシー
11月3日
本投票

民主党有力候補の主張と今後の展開について

現時点ではアイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選挙が終わり、バーニー・サンダース候補とピート・ブティジェッジ候補がリードしています。簡単に両候補の主張をまとめると、下のようになります。

バーニー・サンダース
バーニー・サンダース
法人税
オフショアを禁止
裕福層
特別課税
キャピタルゲイン税
増税
シェール
フラッキング禁止
スチューデントローン
すべて免除
格差
裕福層への課税強化、新しい社会プログラムの開始
国民皆医療保険
-

画像出典:Wikipedia

ピート・ブティジェッジ
ピート・ブティジェッジ
法人税
2017年のトランプ減税をやめる
裕福層
課税強化
キャピタルゲイン税
-
シェール
連邦政府の土地でのシェール禁止
スチューデントローン
一部帳消し
格差
労働者へ投資、過疎地への投資
国民皆医療保険
反対

画像出典:Wikipedia

一般的に、3月3日のスーパーチューズデーに、民主党の公認候補は事実上決定するといわれています。

ピート・ブティジェッジ候補は自ら同性愛者であることを公言している異色な候補です。しかしながらアメリカの有権者の多くは保守的でありLGBTに反対の立場を取る傾向が多いと考えられることから、ピート候補が民主党の公認候補になった場合、共和党(=トランプ大統領)が有利であると言われています。

特別監修:広瀬隆雄氏