ステーキングとは?:暗号資産(仮想通貨)を「預けて増やす」新しい仕組み

マネーパートナーズ編集部

マネーパートナーズ編集部

2025.12.19 公開

  • コラム
  • 初心者向け

ステーキングとは、特定の暗号資産(仮想通貨)を保有し、ブロックチェーンのネットワークにロックアップ(預け入れ)することで、ネットワークの維持・管理に貢献し、その対価として報酬を得る仕組みです。まるで銀行預金のように、暗号資産(仮想通貨)を預け入れることで、利息のような形で報酬を受け取ることと似ています。

この仕組みは、ビットコインが採用している「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」とは異なる、「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」というコンセンサスアルゴリズムを採用している暗号資産(仮想通貨)で利用されています。 PoWが膨大な計算能力を必要とする「マイニング(採掘)」によってネットワークを維持するのに対し、PoSは暗号資産(仮想通貨)の保有量と保有期間によってブロックチェーンネットワークへの貢献度を評価します。

ステーキングの仕組み:PoS(プルーフ・オブ・ステーク)の基本

ステーキングを理解するには、まずPoS(プルーフ・オブ・ステーク)というコンセンサスアルゴリズムを理解することが不可欠です。

コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーン上で取引内容が正しいことを検証し、新たなブロックを追加する際のルールや方法を定めるものです。PoSは、以下のような仕組みで機能します。

PoSの仕組み
  1. バリデーター(承認者)の選出: PoSを採用するブロックチェーンでは、「バリデーター」と呼ばれる役割の参加者複数人が、取引の検証と新しいブロックの生成を行います。このバリデーターは、その暗号資産(仮想通貨)を多くステーキング(預け入れ)している参加者の中から、ランダムで選出されるのが一般的です。保有期間が選出の基準になる場合もあります。
  2. 取引の検証とブロックの生成: 選ばれたバリデーターは、ネットワーク上の取引が正しいかどうかを検証し、それを一つの「ブロック」にまとめます。
  3. 報酬の獲得: 検証が完了し、新しいブロックがブロックチェーンに追加されると、その貢献の対価として、バリデーターにステーキング報酬が支払われます。

この報酬は、主にブロックの生成報酬(新規発行される暗号資産)ネットワーク手数料、およびスラッシング(不正行為の罰則として没収)された資金などから支払われます。

報酬の量は、バリデーターが保有・ステークしている暗号資産の量によって異なります。

PoW(プルーフ・オブ・ワーク)高性能なコンピューター(マイニング機器)の購入や莫大な電気代といった高額な設備投資と継続的なコストを消費するのに対し、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)は、暗号資産をロックアップ(預け入れ)するだけでブロックチェーンネットワークに参加できます。このため、利用者は高額な機器や電力コストを必要とせず、手軽かつ低コストでネットワークに参加できるという直接的な利点があります。

ステーキングのメリットとデメリット

ステーキングのメリットとデメリット

ステーキングには、投資家にとって魅力的なメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、その主な例を紹介します。

メリット

安定した収益機会

株式投資のように価格変動による売買益を狙うのではなく、暗号資産(仮想通貨)を保有しているだけで定期的な報酬を得ることができます。これは、市場の変動に左右されにくい安定した収益源となり得ます。

手軽さ

複雑な計算や高額な機器を必要とするマイニングとは異なり、保有している暗号資産(仮想通貨)を預け入れるだけで簡単に参加できます。また、少額から始められるサービスも多く、多くの取引所ウォレットサービスがステーキングサービスを提供しており、手軽に始められます。

プロジェクトの成長と価値向上への寄与

ステーキングに参加することは、そのブロックチェーンネットワークのセキュリティ安定性を高めることにつながります。ネットワークが健全に成長し、利用が拡大することは、結果的にその暗号資産の信頼性を高め、長期的な価値向上に寄与することになります。

高い利回りによる資産形成の可能性

ステーキング報酬は、一般的な銀行預金などと比較して高い年率で得られることが多く、数パーセントから、場合によっては数十パーセントになることもあります。これはインフレ(価値下落)に対するヘッジ(資産の保全)としても機能します。

デメリット

価格変動リスク

ステーキング中に暗号資産(仮想通貨)の市場価格が大きく下落した場合、ステーキングで得られる報酬以上の損失が発生する可能性があります。

ロックアップ(預け入れ)期間

ステーキングする暗号資産(仮想通貨)によっては、一定期間売買・送金・引き出しができない「ロックアップ(預け入れ)期間」が設定されています。この期間中に急な資金が必要になった場合でも、引き出すことができないリスクがあります。

スラッシング(Slashing)リスク

バリデーターとして不正な行動(例:ネットワークのルール違反、オフラインになるなど)をした場合、罰則としてステーキングしている暗号資産(仮想通貨)の一部を没収される「スラッシング」のリスクがあります。全てが没収されるケースは稀ですが、各ブロックチェーンネットワークのプロトコル(規約)によります。

ステーキングの方法:3つの主なアプローチ

ステーキングを始めるには、主に以下の3つの方法があります。

1. 取引所でのステーキング(代行サービス)

最も手軽な方法です。多くの暗号資産(仮想通貨)取引所が、ユーザーに代わってステーキングを代行するサービスを提供しています。

メリット

  • 専門的な知識が不要で、簡単な操作で始められます。
  • リスク管理やスラッシングのリスクは取引所が負うため、初心者でも安心して参加できます。

デメリット

  • 報酬の一部が手数料として差し引かれるため、自分でステーキングするよりも得られる報酬が少なくなります。
  • 資産を取引所に預けるため、取引所のハッキングリスクを考慮する必要があります。

2. 個人でのステーキング

暗号資産を取引所ではなく自分のウォレットで管理しながらステーキングに参加する方法には、さらに以下の2種類があります。

2-1. 委任(デリゲート)ステーキング 【最も一般的な個人での方法】

これは、自分の暗号資産を信頼できるバリデーターに「委任」することで、ステーキングに参加する方法です。資金自体は自分のウォレットにロックアップ(預け入れ)されたまま、バリデーターの報酬分配の対象になります。

メリット
  • ノード運用のような技術的な知識や機器が不要です。
  • 取引所と異なり、自分のウォレットで資産の所有権を維持できます(スラッシングリスクは委任先のバリデーターに依存)
デメリット
  • 委任先のバリデーターに手数料を支払う必要があります。
  • 悪質なバリデーターを選んだ場合、報酬が減額される場合や、委任した資産の一部が没収されるスラッシングリスクを間接的に負う可能性があります。

2-2. ノード運用(バリデーターとしての上級者向け)

PoSネットワークのバリデーターとして、自分でノードを運用する方法です。

メリット
  • 取引所やバリデーターへの手数料を支払う必要がないため、最も多くの報酬を得られる可能性があります。
  • 自分のウォレットで資産を管理するため、取引所のハッキングリスクを回避できます。
デメリット
  • 高度な専門的な技術知識が必要です。
  • 初期投資として、そのネットワークが定める最低必要保有量(高額な暗号資産)や高スペックな機器が必要になる場合があります。
  • ネットワークのルール違反によるスラッシングのリスクをすべて自分で負うことになります。

まとめ:ステーキングが描く未来

ステーキングが描く未来

ステーキングは、暗号資産(仮想通貨)をただ保有するだけでなく、積極的にネットワークに参加し、収益を得る新しい方法です。これは、単なる投資活動にとどまらず、より分散的で公平なブロックチェーンネットワークの構築に貢献します。

しかし、その手軽さの裏には、価格変動やロックアップ(預け入れ)といったリスクも存在します。ステーキングを始める際には、対象となる暗号資産(仮想通貨)のプロジェクト内容、予想される年率、ロックアップ(預け入れ)期間、そしてご自身の投資方針と十分に照らし合わせた上で、慎重に判断することが重要です。

  • コラム
  • 初心者向け

ステーキングとは?:暗号資産(仮想通貨)を「預けて増やす」新しい仕組み

マネーパートナーズ編集部

マネーパートナーズ編集部

2025.12.19 公開

暗号資産(仮想通貨)やその周辺技術、分析手法などを対象に、いろいろな切り口で解説します。
本サイト「マネパラボ」は、暗号資産CFD取引を提供する「マネーパートナーズ」が運営する、ビットコイン(Bitcoin)、ブロックチェーン、暗号資産(仮想通貨)に関する知識、世界中の最新のトピックス、最先端の技術、プロジェクト、規制、相場など、暗号資産投資のヒントになるお役立ち情報を発信するメディアです。

免責事項

  • マネパラボに掲載されている金融情報・投資に関する内容は、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や投資手法の勧誘・推奨を目的としたものではありません。
  • 掲載された情報は、執筆、掲載時点のものです。
  • マネパラボのすべてのコンテンツにおいて、無断転載・無断引用・二次利用は固くお断りいたします。
  • マネパラボの掲載情報を利用した結果によって被ったとされるいかなる損害等について当社は一切責任を負いません。
  • マネパラボからリンクされた外部サイトの内容についても、当サイトは一切の責任を負いません。
  • 投資に関する最終的なご判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。