マイネ
パトナの執事アンドロイド。
パトナ
暗号資産に興味を持ち始めた学生。
ねぇマイネ、暗号資産(仮想通貨)って実際に、送金とか、決済とかで「使う」にはどうすればいいの?
暗号資産(仮想通貨)はモノやサービスの支払い手段としても使えるデジタル資産でございますから、
まずは、「送る」「受け取る」「保管する」ためのお財布が必要になります。
なるほど。で、それが「ウォレット」ってやつ?
はい、まさにそのとおりでございます、パトナ様。
本日は、「暗号資産(仮想通貨)を安全に使うために欠かせないウォレットと秘密鍵の仕組み」について、分かりやすくご解説申し上げます。
また、秘密鍵の所有者が自分自身の場合と、取引所である場合で何が違うのか――そのあたりも重点的にお伝えいたします。
OK!今日は、ウォレットと秘密鍵についてだね!
INDEX
先程お伝えした通り、「ウォレット」とは、暗号資産(仮想通貨)を「保管」「送金・受取」「決済」するためのデジタルなお財布でございます。
例えば、パトナ様がビットコインでお買い物をしたいとお考えのとき、ウォレットがなければ、お支払いができないのです。
ウォレットには大きく分けて以下の2種類がございます。ソフトウェアウォレットとハードウェアウォレットです。
なるほど…便利さと安全性のトレードオフってことだね?
おっしゃるとおりでございます、パトナ様。
用途や資産額に応じて、使い分けるのが最良でございます。
あとは「秘密鍵」だっけ。それってどういうもの?
はい、暗号資産(仮想通貨)のウォレットには「秘密鍵」と「公開鍵」という、2種類のカギがございます。
| 種類 | 🔒秘密鍵 | 🏠公開鍵 |
|---|---|---|
| 役割 | 銀行の暗証番号のようなもの | 受取専用のアドレスのようなもの |
| 注意点 | 絶対に他人に教えてはいけない | 誰にでも公開してOK |
このうち、最も重要なのが秘密鍵でございます。
秘密鍵を知っているということは、「その資産はあなたのものです」という証明にもなります。
ウォレットは、秘密鍵の持ち方によっても分類できます。カストディアルウォレットとノンカストディアルウォレットの2種類です。
耳慣れない言葉ですが、「カストディアル」には「管理」や「保管」といった意味がございまして、この場合は、カストディアルウォレットが「(第三者に)管理されている」ウォレットとなります。
じゃぁ、「ノン」カストディアルは、「秘密鍵」が管理されてないってこと?
第三者に管理されていない、という事ですね。
ご自身で責任をもって保管する方法が「ノンカストディアルウォレット」です。まずは、ノンカストディアルウォレットからご説明しましょう。
ノンカストディアルウォレットはソフトウェアウォレットやハードウェアウォレットを用意し、秘密鍵をご自身で管理する方式でございます。
最も重要な鍵だって言ってたよね。自分の資産だっていう証明になるんだっけ?
より正しくは、秘密鍵を知っていれば「ウォレットから暗号資産(仮想通貨)を送金することが可能」になるのです。
ですので、誰かに秘密鍵を知られてしまえば、資産を盗まれることに繋がります。
暗号資産(仮想通貨)においては、秘密鍵を扱える人こそがその資産の所有者なのです。
じゃあ、自分の資産であっても秘密鍵を忘れたり、盗まれたりしたら…
はい、残念ながら――
万が一、このようなトラブルがあっても、誰もパトナ様を助けることはできないのです。
とある有名人が「秘密鍵を紛失したため、取り出せなくなってしまった資産がある」という発言をしたこともあります。
あわわ…なんか、めっちゃ責任重いんだね…。
「自分が自分の銀行になる」というのが、暗号資産(仮想通貨)の基本思想でございます。
それゆえ、厳重な自己管理が求められます。
万が一、秘密鍵やシードフレーズ等の重要な情報を紛失した場合の救済はまず望めないと考えておくのがよろしいでしょう。
信頼できるウォレットを使いつつ、秘密鍵は災害などに備えた安全な場所で保管することをお勧めします。
ちなみに、紛失した秘密鍵の復元の支援をしている業者が国内外にございまして、成功例もあるようですが、相応の手数料を業者に支払うことになりますし、最悪の場合、詐欺的な業者や偽サイトに騙されてしまう可能性も考えられますので、依頼前にはその事業者の実績や評判、契約内容を慎重に確認する必要がございます。
そもそも、このような本来不要な出費や苦労を防ぐために、秘密鍵等の重要情報の管理は徹底いたしましょう。
どうしよう、ちょっと管理の自信なくなってきたんだけど…
もうひとつの、秘密鍵を管理してもらう方はどうなの?
ではもう一つ、カストディアルウォレットについてもご説明させていただきます。
こちらは、パトナ様が暗号資産(仮想通貨)取引所で口座を開設し、その口座内に資産を保管している場合が該当いたします。
ああ、これなら秘密鍵の管理っていうプレッシャーはないね!
はい、その点に関してはお手間をかけずに済みます。
ただし、ここで重要なのは、取引所の口座(アカウント)にアクセスするためのパスワード等の管理はパトナ様ご自身で行っていただく必要があるということでございます。
あ、そっか。いくら取引所が秘密鍵を管理してくれてても、僕の口座のログイン情報が盗まれちゃったら、僕に成りすまして送金の指示ができちゃうね。
おっしゃる通りでございます。
再三の説明となりますが、秘密鍵を扱える者が暗号資産(仮想通貨)を操作する権限を持ちます。カストディアルウォレットにおいて、ユーザーは秘密鍵を知ることはできない、ということを覚えておいてください。
この方式のリスクとしては以下の点が挙げられます。
カストディアルはこれはこれで、ちょっと不安になってきたかも。
ごもっともなご懸念でございます。
どうしてもご心配であれば、カストディアルウォレットからご自身で秘密鍵を管理するノンカストディアルウォレットに送金して保管なさるのも一つの手段ではございます。
ただ、送金手数料がかかる可能性がございますし、再度暗号資産(仮想通貨)を法定通貨(日本円や米ドル)に交換する際は、多くの場合で取引所ウォレット、つまり取引所の取引口座に戻してから交換を行う必要がございます。
再度送金手数料がかかってしまうことが想定されますので、事前に手数料等のコストを確認いただくことをお勧めいたします。
この2種類のウォレットは、秘密鍵の管理形態だけでなく、できることやリスクにも違いがあります。具体的に比較してみましょう。
| 機能・操作 | ノンカストディアルウォレット | カストディアルウォレット |
|---|---|---|
| 秘密鍵の管理者 | ユーザー | 取引所 |
| 送金時の操作 | 自分で秘密鍵を使って送金する | 取引所の管理画面から送金を依頼する |
| レンディングなどDeFiサービスの利用 | 自由に利用できる | 取引所のサービス内容による |
| 資産移動の遅延・停止リスク | 送金設定に不備(ガス代=送金手数料の不足等)があると、処理が遅延・失敗する可能性がある | 取引所のシステム障害等により、処理が遅延・停止する可能性がある |
| 資産の紛失・盗難リスク | 秘密鍵を紛失すると資産にアクセスできなくなる | 取引所自体がハッキング被害にあう可能性がある |
なるほど、ノンカストディアルウォレットは取引所の都合をあまり気にしないで、自由に送金やサービス利用ができるのはいいけど、その分リスクの責任範囲が大きいんだね。
おっしゃるとおりでございます。
ねぇ、DeFiサービスの利用ができる/できないって、なんのこと?ちょっとイメージがわかないんだけど……
かしこまりました。すこし細かくご説明して参りましょう。
すでにご認識の通り、カストディアルウォレットは、秘密鍵の管理を取引所が代行していること(=手軽さ)がメリットです。
しかし、言い換えれば、ユーザーが直接、秘密鍵を扱えないということです。そのデメリットが、以下のようなサービスでは利用が制限されやすいという特徴として現れるのです。
NFTという、ブロックチェーンならではの技術をご存じですか?
聞いたことあるよ。芸術作品とかに使われているんだっけ?
はい、NFTとは「非代替性トークン」、つまり替えが効かない一点物という意味です。ブロックチェーンの技術で、画像や音楽などのデータの所有者を管理いたしますので、デジタルコンテンツというコピー可能なものでありながら、「本物」の証明ができるのです。
NFTの売買を行う場合には、ブロックチェーン上の資産を直接管理し、売買や所有者情報の変更を行う必要がございます。
カストディアルウォレットは秘密鍵が取引所の管理下にあり、ユーザーが直接資産を操作できないため、基本的にNFTの購入や保管に対応できない場合が多いのでございます。
分散型取引所(DEX)やレンディング、ステーキングなどのDeFiサービスもまた、ユーザーが自分の秘密鍵で資産を操作することが求められます。
カストディアルウォレットは、取引所のシステムに依存している構造上、外部サービスには技術的な制約で接続できないのです。
ノンカストディアルウォレットなら、この辺も問題ないんだね?
はい、特にMetaMaskなどは、ウォレットを使い分けなくても複数のサービスに接続することができます。取引所や組織といったプロジェクト主体の枠組みにとらわれずに利用できるという点は大変な魅力ですね。
また、スマートコントラクトを用いた自動取引や契約の実行には、ユーザーが秘密鍵を使って署名を行う必要があります。
カストディアルウォレットではこの操作ができませんので、利用が制限されてしまいます。
えっと、スマートコントラクトっていうのは?
ブロックチェーン上の処理を自動実行できる仕組みの事です。成り立ちなどもぜひ知っていただきたいので、スマートコントラクトについては次の機会にご説明いたします。
なるほど…カストディアルウォレットは便利だけど、「秘密鍵を用いて、ユーザー自身が直接動かす」系のサービスは難しいってことなんだね。
まさにその通りでございます。
もしNFTの売買やDeFiを積極的に利用したい場合は、ノンカストディアルウォレットを利用して秘密鍵を自分で管理することが重要でございます。
もちろん、その分だけリスク管理も慎重に行う必要がございます。
まとめますと、
ここで、最も重要なポイントをおさらいさせていただきます。
| 項目 | ノンカストディアルウォレット | カストディアルウォレット |
|---|---|---|
| 秘密鍵の管理者 | ユーザー自身 | 取引所 |
| 資産操作・利用の自由度 | ユーザー自身が秘密鍵を用いるため、単純な送金以外にNFTやレンディングなど様々なサービスを利用可能 | 秘密鍵は取引所が管理するため、取引所の提供サービス内でのみ利用可能 |
| セキュリティ管理・強度 | ユーザーが自己責任で管理。セキュリティ強度はユーザーの対策次第となる。 | 取引所がセキュリティ管理を担当。セキュリティ強度は取引所に依存する |
| リスク | 秘密鍵の紛失・漏洩 | ハッキング・倒産 |
初心者の方は、セキュリティ体制が整った、信頼できる取引所のカストディアルウォレットから始めるのが一般的でございますね。
ウォレットって、「どこに入れるか」だけじゃなくて、「誰がカギを持ってるか」も大事なんだね!
はい、さようでございますね、パトナ様。
🔎 まとめますと…
初心者の方であれば、カストディアルウォレットから始めるのが一般的ではございますが、ご覧の通り、どちらにも長所・短所がございますので、最終的には、ご自身の管理能力や資産規模に応じて、最適な管理方法をお選びいただくのがよろしいでしょう。
本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
暗号資産(仮想通貨)の「持ち方」ひとつで、そのリスクと自由度は大きく変わってまいります。
どうぞご自身にとって最適な管理方法をお選びくださいませ。
次回も、パトナ様とともに、皆様のお役に立てる情報を丁寧にお届けいたします。失礼いたします。
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