マイネ
パトナの執事アンドロイド。
パトナ
暗号資産に興味を持ち始めた学生。
ねぇマイネ、ちょっと聞いてもいい?
暗号資産(仮想通貨)を買う方法に「現物」とか「デリバティブ」って種類があるらしいんだけど、正直よく分かんないんだよね。どう違うの?
ふむ、それはとてもよいご質問でございます、パトナ様。
それでは、本日は「暗号資産(仮想通貨)の現物取引とデリバティブ取引」について、ご説明いたしましょう。
INDEX
まず「現物取引(スポット取引)」とは、実際の暗号資産(仮想通貨)を売買して保有・売却する取引でございます。
たとえば、日本円でビットコインの現物を買ったら、そのビットコインを自分のウォレットに送って、支払いやDeFiなどさまざまな用途に使用できます。
あるいは、ビットコインの価格が上がったときに、売却して日本円に戻して、買った時との差額を利益として受け取っても良いですね。
そっか!暗号資産(仮想通貨)を使うためじゃなくて、最初から値上がりの方に期待して買う人もいるんだったよね。
はい、その値動きの大きさから、暗号資産(仮想通貨)は投機的なモノという印象のほうを強くお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
販売所では、販売所が提示する売買価格で購入・売却します。現実のお店での買い物や中古品の売却のように、提示された価格を支払う・受け取ることで即座に取引が成立します。
一方、取引所では、取引はユーザー同士のマッチングとなります。ビットコインを購入したい場合は、売りたい人の提示する値段に納得がいけば、代金とビットコインを交換することになります。
いずれも、店での購入や、日常生活でのモノの交換と大差ないイメージかと存じますので、直感的でシンプルに取引いただけるでしょう。
なるほどね。じゃあ、現物販売所ではコンビニで物を買うみたいな感じで暗号資産(仮想通貨)を購入出来て、現物取引所では外貨両替で円とドルを交換するみたいな感じで他のユーザーの暗号資産(仮想通貨)と自分の円を交換するってことだね。
ところで、「現物」って「現実」の「物」って意味でいいんだよね?暗号資産(仮想通貨)って、実際は触れないデジタルデータでしょ?なのに「現物」っていうの?
ごもっともな疑問でございます。
「現物」とは、"形があるもの"という意味ではなく、「実際にその資産を保有している」という意味合いで使われているようでございます。
ですので、例えばですが、ビットコインをウォレットに入れて、実際に使える状態にあるなら、それは「現物」を持っていると表現します。
へえ、投資とか金融ならではの言い方なんだね。
ええ、慣れないと、少し不思議な感じがいたしますね。
そういえば、さっき「実際に」資産を保有している、って言ってたけど、そうじゃない場合があるの?
自分で秘密鍵を管理しないカストディアルウォレットのこと?カストディアルウォレット内の暗号資産(仮想通貨)は、基本的にDeFiとかには使えないって言ってたもんね。
いえ、カストディアルウォレットの資産もノンカストディアルウォレットに移動させれば問題ありませんので、「現物」扱いとなります。
現物を保有しない取引が、ご質問のもう一方「デリバティブ取引」です。
保有しないって……どういうこと?想像もつかないんだけど。
かしこまりました。「デリバティブ(Derivative)」とは、ある資産の"値動きに連動して、価格が決まる"金融商品のことを指します。取引の種類も多いので長くなってしまいますが、ご説明してまいりましょう。
デリバティブ取引にはいくつか取引の種類がございますので、そのうち暗号資産(仮想通貨)の取引にもかかわりがあるものについてご紹介いたします。
ちなみに、デリバティブ取引は、株式や債券などの金融市場にもある伝統的な取引手法なのですよ。
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| ✅先物取引(Futures) | 暗号資産の値動きを見越し、将来の特定の時点であらかじめ定めた価格で買う/売る約束をする取引。取引期限がある契約では、値動きが予想と反していたとしても、期限内に売買する必要がある。他2つの取引方法に比べて、取引単位の設定が大きいため、多額の資金(証拠金)が必要な傾向がある。 |
| ✅オプション取引(Options) | 決まった価格で「買うor売る」権利を売買する金融取引。あくまで「権利」を取引するため、値動きが予想と反していた場合に売買する義務はない(ただし、売買しなかったとしても権利の購入費用は戻ってこない)。権利の売り手か買い手かで取引時に必要な資金(証拠金)の額が異なる。 |
| ✅CFD取引(差金決済取引) | 取引開始と終了のタイミングの、価格変動の差額だけで利益や損失を確定する金融取引。実質的に取引終了期限がない(ロールオーバーが行われるため)。先物取引と比較すると、取引単位が柔軟で少額の資金(証拠金)から取引が可能。 |
デリバティブ取引にはいくつかの種類があるんだね。上級者はうまく使い分けるって感じかな?
はい。ご明察でございます、パトナ様。
ここからは、「CFD取引」を例にご説明いたします。
CFD取引は日本語で「差金決済取引」とも呼ばれます。さきほど表でお示ししたように、デリバティブ取引の中のひとつでございます。
現物取引と異なり、取引開始時と終了時の価格の差額だけを金銭で受け渡しする仕組みでございまして、取引をしても暗号資産現物の移動は行われません。
まずは、違いを表にまとめましたのでご覧ください。
| 比較 項目 |
CFD取引 | 現物取引 |
|---|---|---|
| 資産の 保有 |
なし(ウォレットに送れない) | あり(ウォレットに送れる) |
| 利用 目的 |
価格変動の大きさから投機、短期運用に人気 | 値上がりを見越しての長期投資以外にも、海外送金や支払いなど実利用が可能 |
| 利益の 出し方 |
買値⇒売値の差額だけでなく、売値⇒買値の差額でも取引できるので、暗号資産(仮想通貨)の値上がり・値下がりに関係なく利益を出すチャンスがある | 買った時より値上がりした場合のみ利益になる(買った資産を売ったときの差額が利益・損失になる) |
| 資金 効率 |
証拠金を預けることで手元資金以上の取引(レバレッジ取引)が可能となるため、現物取引よりも資金効率を高めることができる | 手元資金以上の取引はできない |
こうして見ると、CFD取引は使う用じゃなく利益を得る用に暗号資産(仮想通貨)を取引するって事でいいのかな?ウォレットにも送れないし。
さようでございます。ご存じの通り、暗号資産(仮想通貨)は頻繁に価格が上下いたします。この価格変動を利用した利益獲得……つまり「投機的な取引」に特化したものが、CFD取引をはじめとするデリバティブ取引なのです。
なるほど。暗号資産(仮想通貨)を、支払い手段のような「実用的なお金」じゃなくて、「投資対象」として考える取引なんだね。
はい、パトナ様。
さて、ここで「投機的な取引」に非常に役立つ特徴をご紹介しましょう。
どんなものなの?
ずばり、「下落相場でも利益を狙える」という特性でございます。
CFD取引をはじめとしたデリバティブ取引全般の特徴として、「売りから入る取引」がございます。こちらは、取引開始時よりも価格が安くなっていった場合に、利益が得られる仕組みになっております。
つまり、対象の暗号資産(仮想通貨)がすでに高値圏にあると感じて「買いづらい」ときでも、これから「下がる」と予想する場合は、売りから取引を開始することが可能なのでございます。
もし1ビットコインが1,500万円の時に、1ビットコインを『買い』で取引を開始する場合と、『売り』から取引を開始する場合で、損益がどうなるか、ご覧いただきましょう。
| ビットコイン価格 | 買い取引の損益 | 売り取引の損益 |
|---|---|---|
| ↑1,600万円 | +100万円 | -100万円 |
| 1,500万円で取引開始 | - | - |
| ↓1,400万円 | -100万円 | +100万円 |
ほんとだ、売り取引のほうは値段が下がったときに利益が出てる!
暗号資産(仮想通貨)って魅力あるなと思って値段を調べてみたんだけど、なんかだんだん下がってる感じで、今始めても利益にならないのかなって思ってたんだよね。
まさに!仰せのように――
このような方には、CFD取引の「売りから入れる」という仕組みが合っているかもしれません。
確かに、これは現物取引には無い魅力だね。
だけどさ、取引を「売りから開始」するってどういう意味?
普通、なにか売るなら売り物を用意しておく必要があるでしょ?
大変ごもっともな質問でございます。まさにそこが直感的な理解が難しく、複雑なところでございます。丁寧に詳しく説明して参りましょう。
パトナ様がおっしゃる「売る時には売る"モノ"が必要」という状態は、現実世界や現物取引での表現でございますね。
しかし、CFD取引はそもそも現物を扱いませんので、やり取りする"モノ(現物)"はないのです。
手元にないものを売るってことは――あっ、もしかしてこれが「空売り」ってやつ?
株だと、取引所から借りた株を売って後から返すっていう取引があるんでしょ?CFDでも、取引所から暗号資産を借りて売るのかな?
いいえ。「空売り」のご理解自体は正しいのですが、株取引の「空売り」も、結局は「"株(現物)"を証券会社から借りてそれを売る」という、現物を扱う取引です。
CFD取引では現物のやり取りをいたしませんし、持つこともありません。ですので当然、暗号資産を「借りる」という状況も、やはり発生しえないのでございます。借りるからには、一時的にでも現物を持たないといけませんからね。
したがって、取引前に売るものを借りる必要がある信用取引の「空売り(ショート)」と、現物を扱わない(扱えない)CFD取引の「売り取引(ショート)」は、一見同じようで全く別の種類の取引となります。
どっちも「ショート」って言うのに、全然違うんだね。こんがらかるなぁ~!
……って、じゃあ、売るものが無くても「売りから始める取引」ができるなら、結局暗号資産(仮想通貨)CFD取引では「何」を取引しているってことになるのかな?
ひとことで言えば、暗号資産(仮想通貨)CFD取引が扱うのは「売買価格の価格差」でございます。
「価格"差"」ですので、買注文と売注文はセットで必要です。買いで始めたら売りの決済取引、売りで始めたら買いの決済取引を行わない限り、ポジションを持っている状況、つまり取引中の状態なのです。
一方、「現物取引」の場合はシンプルにモノと代金の交換ですから、交換が完了すれば取引は終了します。「現物取引の買い」の例ならば、「暗号資産(仮想通貨)が欲しい」から、「日本円を相手に売って」「暗号資産を相手から買う」という取引です。
現物取引では、取引が成立して、円の支払いを行い、対価の暗号資産(仮想通貨)をパトナ様が受け取ったら、その時点で取引は完結しているのです。
売買がセットじゃないと取引が終了しないCFD取引と、買いは買ったら、売りは売ったら終了する現物取引ってことか……。
はい。一部繰り返しにはなりますが、CFD取引は、暗号資産(仮想通貨)や金・原油のような「商品」そのものに対して「買い【または】売りの契約をする」取引ではなく「(商品指数の)価格変動」に対して、「将来の価格差を決済する」取引のことでございます。
CFD取引では「売買の価格差が算出できればよい」ので、一見成立しなさそうに見える売⇒買の順番でも、取引に問題はないのです。
なるほど、CFD取引が対象にしているのは、あくまで値段の数値だけって感じなんだね。
正直なところ、詳しいところまでいくと、わかったような、わからないような……って感じだけど、とりあえずまあ、CFD取引だと買う・売るの順番は問題じゃないって事は分かったかな。
それはようございました。ワタクシも説明した甲斐がございます!
また、CFD取引をはじめとしたデリバティブ取引では、レバレッジをかけた取引ができる点も魅力でございます。
レバレッジ?なにそれ?
レバレッジとは、日本語で「てこの原理」を指します。てこの原理とは、ご存知の通り小さな力で大きなものを動かすことができる物理原理でございますが、
デリバティブ取引においては、小さな資金を元手に、大きな金額の取引ができる仕組みのことを言います。
何かを取引する場合は、普通は取引の成立時にその対価の全額の資金が必要となりますよね。ビットコイン価格が1,500万円のときに1ビットコインを購入しようとすれば、当然その全額1,500万円が必要、とお考えになるはずです。
普通の買い物でも、何でもそうだよね。
……ということは、全額が必要ない場合もあるってこと?
さようでございます。
デリバティブ取引でレバレッジを利用する場合、必ずしも1,500万円全額を用意する必要はありません。取引の担保となる一定の資金を差し入れることで、取引を開始することができるのです。
この"担保となる資金"は「証拠金」や「保証金」と呼ばれるものでして、取引所に証拠金を預ける事により、現物取引よりも投資効率の良い取引が可能となります。
ごめん、投資効率が良いってどういう意味?
同じ投資額に対して、より大きな投資効果を得られる、ということでございます。
先ほど1ビットコインの取引に1,500万円全額は必要ないとお伝えしましたが、具体的には、レバレッジが2倍の場合、半分の750万円で取引が可能です。
言い換えれば、ご自身の資金にレバレッジの倍率を掛けた金額で取引が出来るということなのです。
つまり、750万円をレバレッジ2倍にすると、1,500万円分の取引ができるってことなんだね。掛けるレバレッジは何倍でもいいの?
現在(2026年2月時点)は、日本の法令上レバレッジは最大2倍までと制限されております。
ただ、初心者の方がいきなり大きなレバレッジ倍率で取引することは、リスクも大きくなるためおすすめできません。本日は、少し倍率を下げた1.5倍でご説明いたします。
投資額が100万円で、ビットコイン価格が1,500万円の場合に、現物取引とCFD取引で運用できるビットコインの量を比較してみましょう。
⚠ちなみに、今回は説明を簡単にするために、売買時などに必要な各種手数料や税金は計算に含んでおりませんので、ご了承ください。
まずは現物取引の場合です。現物取引ではレバレッジを利用できませんので、そのまま計算いたします。
資金100万円÷1ビットコイン1,500万円=0.066…となり、取引できる(買える)のは約0.06ビットコインです。
一方、CFD取引では、レバレッジを利用できます。1.5倍で計算することとしますので、(資金100万円✕レバレッジ1.5=150万円)÷1ビットコイン1,500万円=0.1となり、取引できるのは0.1ビットコインとなります。
レバレッジなしだと0.06ビットコインで、レバレッジ1.5倍だと0.1ビットコイン…レバレッジの分だけ多く取引できるんだね。
……う~んと、だから?
つまり、価格が動いたときの影響が大きくなるということでございます。
あっ、なるほど。もしビットコインの価格が1,600万円まで上昇したときには、多く買えていた数量分、利益が大きくなる…ってことだよね?
ご明察でございます!ビットコインの価格が1,500万円から1,600万円に上昇した場合は、1ビットコインあたり100万円の利益となりますので――
レバレッジ無しで取引した0.06ビットコインの利益は6万円(値動き100万円分✕0.06ビットコイン)でございます。
一方、レバレッジ1.5倍で取引した0.1ビットコインの方は、利益10万円(値動き100万円分✕0.1ビットコイン)となりますね。
投資に使用した金額は同じ100万円ですが、これに対する収益は6万円と10万円、4万円の差が出ております。
レバレッジ取引では、実際に持っている元手以上のビットコインを買うことが出来る。その結果、現物取引と比較して、積極的に利益を狙った取引が出来る――これが、レバレッジが投資効率にもたらす影響でございます。
なるほどね!レバレッジを1.5倍掛けると、現物で1.5倍のビットコインを持っている時と同じだけの利益が出るんだ!
さようでございます。ただし、倍率が掛かるのは利益だけではございません。
先程は、利益が得られたときの話をいたしましたが、ビットコインも他の暗号資産(仮想通貨)も、当然価格が下がることがございます。
あっ、価格が下がる…ってことは、損失になるよね。レバレッジを掛けて多く持ったぶん、損失も大きくなる?
ええ、おっしゃる通りでございます。
高いレバレッジをかけて取引した場合に予想とは逆の方向に相場が動くと、低いレバレッジで取引した場合に比べて、生じる損失は大きくなります。
ですので、取引に慣れていない初心者の方が、いきなり高いレバレッジをかけて取引することはお勧めしづらいのです。
元手資金以上の取引が出来るという性質上、レバレッジを掛けた取引では、最悪の場合投資した資金以上の損失が発生する可能性があることもございます。
ええっ…投資した資金以上の損失って、つまり取引口座の残高がマイナスになっちゃうこともあるんだね?
さようでございます。なお、そのようなことが起こらないよう、少なくとも国内取引業者では、損失額を証拠金の金額内で抑えるために自動で決済する仕組み(強制ロスカット)が設けられております。
ですが、相場が大きく動いた場合には強制決済が間に合わず、残高がマイナスになることも起こり得ます。
そのため、相場急変時等、リスクが高まる局面では、レバレッジ倍率をあらかじめ低く調整しておくことが重要です。取引口座に入金して証拠金を増やしておく、またはポジションを一部決済して取引中の数量を減らしておくことで、レバレッジ倍率を下げることができます。
なるほど、レバレッジ倍率が高くなりすぎたときは、取引量を減らすか、資金を増やすかで、下げられるって覚えておくよ。
はい、レバレッジ取引とは大きなリターンを狙える一方で、そのぶんリスク管理がとても重要な取引でございます。リスクを十分にご理解いただいた上で、無理のないお取引を行ってくださいませ。
なお、CFD取引は、以下のような流れで行われます。
再三のご説明となりますが、この③で受け渡しされるのは差額のみで、暗号資産そのものは手に入りません。
①で買い取引を始め、買いの建玉を持っている状態でも、それは「現物を買った・持っている」という状態にはあたりません。
今日は「現物取引」と 「CFD取引(デリバティブ取引)」って全然違う取引の仕組みなんだってことがわかったよ!
よろしゅうございました。
最後に、それぞれの取引の特徴や、メリット・デメリットについておさらいいたしましょう。
大切なのは、現物保有の有無やレバレッジの利用可否など、特性の違いをしっかりご理解いただいた上で、ご自身の目的とスタイルに合った取引方法を選ぶことでございます。
そうだね。取引をはじめるときは、「なんとなく」で選ばないようにするよ。
本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
目的に応じて、適した取引方法は変わります。焦らず、正しい知識を持って判断なさってくださいませ。
次回も、パトナ様とともに、皆様のお役に立てる情報を丁寧にお届けいたします。失礼いたします。
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