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第242回 ~ドル安の底値を待つ~

2017年04月27日

 フランス大統領選挙の結果は、市場に強烈なインパクトを与えた。ユーロ脱退を主張するルペン候補が第1回目の選挙で2位になり5月7日の決選投票に駒を進めたにもかかわらず、波乱は起こらないとの見方から、一斉にポジションの入れ替えを始めた。

 第1回目の得票率は、マクロン氏の24.01%に対し、ルペン氏は21.30%と、ほぼ拮抗していた事前予想に比べ差は開き、決選投票ではマクロン候補の勝利は確実、恐れていたユーロの崩壊の可能性は限りなくゼロになったとの見方が優勢になったからだ。

 為替市場では、この事実に対し、素直に反応した。大きく言えば、ユーロ高、円安、ドル安である。円は111.77円まで売られ、4月の最安値を付けたが、中心的な動きは、おひざ元のユーロの急上昇である。前週末引け値1.0717に対し、今週は約160ポイント高1.0873の窓空きでオープン。いかにルペン候補の勝利を懸念していたかが表れている。冬眠していたクマが外の急変した陽気を感じ、急いで穴倉から飛び出してきたみたいだ。この流れの中で、タンス預金として一時的に疎開していた円のほかにオセアニア通貨をも売却、欧州通貨を買い戻し、リスクを取り始めた。

 結果としてドルインデックスは急落。4月25日には98.30台まで売られ昨年11月10日以来の水準までドル安となった。トランプ大統領当選発表直後の水準である。ほかの通貨の動きを見てもポジションの入れ替えが顕著だ。金利高で買われていたオセアニア通貨も売られ、豪ドルは今年1月13日以来、ニュージーランドドルは昨年12月26日以来の安値に急落した。カナダドルも原油価格の下落もあり、約2ヵ月ぶりの安値を付けた。一方米国債金利は、2.335%と1週間で0.16%も上昇、トランプラリーの再来のように見える。

 では、これはトランプラリーの第二弾に結び付く動きなのか。個人的には、そうな思えない。なぜなら、根本的な問題は少しも解決していないからだ。確かに人間の心理は改善したかに見える。ユーロは、パリティ(ドルとユーロの等価)方向でなく、1.10へのユーロ高を狙う動きである。短期的には、トランプ大統領の税制改革案の発表や、北朝鮮情勢が小康状態になったことなど、リスク要因が後退したとみれば、ユーロ高、円安基調は続くとみられる。

 しかし、これから5月の連休にかけて多くの変動要因が続く。少しでも予想外のことが発生すれば、またリスクオフに戻る、その一つは、日銀の金融緩和姿勢の変化である。国債等の証券買い入れ金額の変更を示唆することが少しでも出てくれば、円買いをもたらす。また、個人的には、米国景気が少し足踏み状態にあることも気になる。この意味では、これから発表になる米GDP(予想+1.0%)や、来週のPMI,雇用統計は大きな注目点だ。北朝鮮情勢も油断できない。5月にはドル安が終わる前にもう一度ドルの底値を付けに行き、二番底を形成した後に徐々に円安が進んでいくと予想している。

 今後2週間の相場レンジは、ドル円は108.00-112.00円、ユーロは、対ドルでは1.0700-1.1000、ユーロ円は118.50-122.50と予想する。
(2017/4/26、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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