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第317回 ~情報感知力の養い方~

2018年12月05日

 毎週、ドル円とユーロの相場レンジを予想しているが、この1週間の相場は、予想したレンジとほぼ一致した。ドル円だけは思っていたより20銭あまり円高に傾いたが、基本的には、誤差の範囲と思っている。毎回ピタリ賞というわけではないので、自慢できることではないが、脳を働かせ、情報感知力を高めるために大変効果的と考え、継続して実行している。

資産運用の世界では、常に人より早く、リスクを回避し機会を捕まえることにしのぎを削っている。したがって、短期的な相場の変動にとらわれず、長期的な視点で取引している人でも、日々の値動きに無頓着であってはならない。なぜなら、小さな出来事であっても、変化の芽はどこにでも宿っており、それが長期的な大きなうねりになることがあるからだ。

そこで、常日頃から「値動き」と「相場を動かす要因」を関連付けて観察を続け、それを積み重ねていくことが大事になる。例えば、それぞれの要因が「どのような結果」になれば、「相場はどちらに動く、あるいは動かない」かを考える。また今まで気がつないでいた(あるいは無視されていた)事柄が急に相場変動要因になった、など。これらを考えていくことが、いわゆる情報感知力の訓練にとても役立つことになる。

では、どのように実践していけばよいか、であるが、筆者はその訓練方法を「3か月練習法」として薦めている。弊著でも講演でも取り上げているが、やり方はそう難しくない。もし興味を満たれる方がいらっしゃれば、始める時期は「今でしょ!」です。このコラムでも、近いうちに説明する機会を持ちたい。

さて前置きが長くなったが、この1週間を振り返ってみると、メインイベントは、水曜日のパウエルFRB議長講演と週末のG20での米中首脳会議であった。それぞれが、市場の予想とは、少し異なった結果であったが、どちらも、今後の方向性を直接決定づけるものではなかった。もっとも、パウエル講演は、わずか2か月前の講演と比べると、大きく主張が変わっており、金融市場にかなりショックを与えたのも事実だ。

12月の利上げ確率も小さくなった(シカゴ先物市場で利上げ織り込み確率は、11/28の82.7%から昨日は78.4%に低下)。2019年に2~3回の利上げ予想であったのが、1回で終了というところまで低下している。結果は今月18―19日のFOMCで明らかになるが、先週からリセッションの前触れとも言われる金利差の逆転も起こってきた。まだ5年/2年の逆転であり、本命の10年/2年は逆転していない。しかしその金利差は急速に縮まっており、秒読み段階との声が大きくなってきた。株の大幅下落がその危機感を表している。景気後退が確実となる時は、ドル円は110円割れも覚悟しなければならないかもしれない。


ただ、現状は、テクニカル的には、ドルは踏みとどまっている。今年の最安値104.61円(3/22)を底に、今日までドルは売られる場面でも下値は切り上げており、また中期(89日)線(今日現在 112.31円)がサポートラインとして下値を抑えている。一方で、一目の雲の上限(先行スパン1)が、今日は112.67円だが、今月後半になると113円を超えてくる。

そして、今週金曜日には、雇用統計が発表になり、米中貿易交渉も予断が許さない。今年最後のドル円の攻防が起こる可能性があると、肝に銘じておきたい。そのターニングポイントとして、筆者は112.30円(11/20安値)と考えている。

さて、今後1週間のドル円は、112.40円~113.90円で推移していくと予想。一方、ユーロは、対ドルでは1.1280~1.1430、対円では127.50~129.00円と予想している。
(2018/12/5,小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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