もしトラが1月20日正午に「またトラ」になった。正式に第47代アメリカ合衆国大統領に就任、これから4年間、世界は先行きの読めない覇権国リーダーと付き合っていかなければならない。政治、経済、社会、倫理、環境、、、とあらゆる世界でこれまでの常識を見直す戦いが動き出す。
早速、多数の大統領令を発布、就任前に公言していた多くの公約の実現に動き出した。すべてがすぐに実現するわけでなく、議会で審議を必要としている項目があるようだが、上院下院とも共和党が過半数を得ているので、時間はかかってもトランプ大統領の望む方向に進むと考えてよいだろう。このような不確定な時代、為替市場がどのような影響を受けるであろうか。トランプ二期目を見据えた為替市場について考えてみたい。
まず最初に認識しておきたいことは、「歴史は繰り返さない」点である。ドルインデックスで見たドル相場は、1期目2017年1月20日は100.64、在任期間中のレンジは高値が103.310、安値が88.253であった。この間100を超えた時点で「ドルが強すぎる」と言い、90を割ると「強いドルを望む」と、トランプ大統領は市場への牽制を繰り返した。参加者は素直に従い、結果、上記のレンジとなって、2020年末は89.923で終えた。
そして現在は、すでにこのレンジを上回っている。1月20日は過去の相場に倣いドル下落(109.453→107.917)となったが、NY終値は108.070、依然として一期目のレンジとは大きく乖離している。トランプ政権としてはこれから始まることになるが、これまで為替相場についての公の発言はない。唯一参考になるのは、ベッセント財務長官の公聴会での発言だが、しいて言えばドル高容認の言い方であった。
ただ、トランプ大統領の政策はインフレを生み、金利は上昇するとの見方が多い。一方で一期目には、「利上げはうれしくない」とか、利上げ牽制発言も行っており、金利上昇に歯止めがかかり、ドル高に大きく結びつかない可能性もある。しかし相場のボラテリティが大きくなることは間違いないであろう。
ところで、就任後のドル円の値動きを見ると、断続的に短時間(例えば30分足)で急騰や急落が起こっている。これまでも特別なイベントが発生するときに起こっていることでもあるが、この相場展開は、人でなくコンピューターの動きと読める。現場の声として耳に入ってくるのは、「今は方向は正直わからない。しばらくは日計り戦略だ」であった。変動要因としての金利差は依然として有効である。そこで市場の注目を集めているのは、今週の日銀の政策決定会合である。
予想は、0.25%の引き上げ。先週指摘したように引き上げ環境が整っている。オーバーナイト-インデックス・スワップで見た利上げ確率もすでに90%に上昇、10年国債利回りも年初来上昇を続け、すでに2011年4月以来の水準まで上昇、催促相場が続いている。ここで利上げがなければ、「何のための審議委員か」との声がでても不思議ではない。
そこで、今後1週間の相場予想であるが、ドル円は日銀会合で利上げを受けて154.00-156.50円と予想。またユーロドルは、今週はこれまでの下落の修正があると考え1.0300-1.0575とユーロ高を予想。ユーロ円は159.00-163.00円と先週と同値を予想。そして英ポンドドルは1.2100-1.2400のポンド強含みを予想する。
(2025/1/22、 小池正一郎)
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