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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第592回 当面は北朝鮮リスクへの警戒もやむを得ず…

2017年08月14日

 あれは今年の4月初旬から半ば頃にかけてのことであった。米大統領が同月6日、サリンなどの化学兵器を使用したと見られるシリアに対し、米軍に攻撃を命じたと発表。同日中にも数十発という巡航ミサイルがシリアに向けて放たれ、これを一つの契機に市場では中東や朝鮮半島などの地政学的リスクに対する警戒がにわかに高まった。
 4月は、北朝鮮の故金日成主席生誕105年記念日(15日)や朝鮮人民軍創設85周年などのイベントが続いたこともあり、そのタイミングで北朝鮮が何らかの軍事的行動、挑発的行動をとれば米朝間の緊張が一気に高まると見る向きも少なくはなかった。結果、市場では一時的にもリスク回避ムードが極端に強まることとなり、ドル/円が一時108円台前半の水準まで売り込まれるという場面もあったことが思い出される。

 あれから4カ月が経って、またも“いつか来た道”である。少し振り返ると、先週8日にワシントンポスト紙が「北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な小型核兵器を開発する能力がある」との米インテリジェンスの分析を伝え、この報道に触発されたかのように米大統領が無用に過激な妄言を夏季休暇先で連発。それに北朝鮮側が応じる格好で双方の鍔迫り合い(チキンレース?)がまた始まった。
 一部報道では、米朝間の外交交渉は水面下で長らく続けられてきており、いまも実務担当者レベルでは慎重に進められているとの声も聞かれる。しかし、現実的には対北朝鮮政策を担う責任者の顔ぶれが米政権内で揃っていないとも言われ、もともと政策運営の行き詰まりが目立つ米大統領が得点稼ぎのパフォーマンスを続けることで、アクシデント的により危うい展開に発展しやしないか心配されることも事実である。

 結果、あらためてドル/円は先週10日に110円を終値で下抜け、翌11日には一時109円を割り込む場面を垣間見ることとなった。6月に一度追加で米利上げが行われていることを考慮すれば、それ以前につけられた4月の安値=108.13円までは下げないとの見方もできそうだが、今回は「グアム」という具体的な地名が上がってきているぶん、事態はより深刻(=円高の余地は拡がる?)との見ることもできなくはない。
 いまだ、市場では実際に米朝間で軍事衝突が生じると見る向きは少ないようだが、それでもテールリスクには要警戒であるとしてリスク回避の円買いが進む。そうでなくとも7月10日以降、米政権の体たらくを主要因とする米国景気の先行き不透明感からドル/円の下げはかなりキツクなっていた。そこへ持ってきて、またまたトランプ氏のご乱行による国際緊張と株安というのであるから、本当にたまったものではない。

 とにもかくにも、今週は北朝鮮の言う「(ミサイル発射準備を終える)8月中旬」にあたるわけであるから、その出方を慎重に見定めるよりない。ちなみに、前述した今年4月の円高局面では、ドル/円が108.13円まで下押して底入れ&反発してからは、徐々に市場の警戒が後退し、後にV字型の急激な戻りを見ることとなった。同様のパターンとなる可能性もあるものと一応は心積もりしておくことも必要であろう。
 とりあえず、足下のドル/円は62週線が位置するところに下値を支えられる格好となっているが、その下方には一目均衡表の週足「雲」下限が位置しており、当面は同水準も意識されやすいところと見られる。思えば、4月の半ば頃に一時108.13円まで下押した場面でも、ドル/円の週足ロウソクは62週線に下支えされることとなった。
 なおも、突発的に市場のムードが悪化する可能性もないではないが、地政学的リスクが相場の長期トレンドを形成することもないだろう。
(08/14 09:15)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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