今日は世界中がクリスマス一色、欧米市場は休場。2024年は既に終了と言う雰囲気であろう。2024年最終版に当たり、恒例になるが、今年はまず1年の振り返りから始めたい。
昨年最終号における為替相場見通しとその実績は下記の通りである。
見通し <実績(年間レンジ)>(12/25 午後5:25現在)
ドル円 128.00 - 148.00 <139.58 - 161.95> (157.02円)
(年末133.00円)
ユーロドル 1.0200 – 1.2200 <1.0332 - 1.1214> (1.0400)
ポンドドル 1.1500 – 1.3500 <1.2299 - 1.3434> (1.2547)
ドルインデックス 85 – 105 <100.16 – 108.54> (107.92)
今年の特筆事項は、なんといっても「円の独歩安」である。ドル円が、今年7月に161.95円と37年7か月ぶりの円安となり、プラザ合意(1985/9)を経た1986年12月以来の円安水準となったことだ。ある意味大事件であった。現場でこれらを経験している筆者にとっては歴史を振り返ることができ、対応できた。そしていわゆるクロス円で、軒並み歴史的な円安となり、ユーロ円では、175.43円の安値を記録し、これはユーロ換算で1992年9月以来の円安となった。その年は、ヘッジファンドの帝王とも言われるジョージ・ソロス氏とイングランド銀行のポンド攻防戦が行われた年だ。
そのポンドに対しても、円は同じ今年7月に208.11円まで売られ、2008年8月以来の円安を記録した。他にも円はスイスに対し史上最安値更新(スイスにとっては高値更新)を続け、今年7月には180.06円の円安となったことはある種の驚きを覚えた。かって二大リスク回避通貨として、円はスイスと肩を並べていたが、円とスイスは完全に切り離された形になり、まさに円の弱体化の象徴と言われても不思議ではない現象だ。そして、豪ドルは109.37円、カナダドルは118.86円とそれぞれ約17年ぶりの円安を記録した。またアジア通貨などその他の通貨に対しても同様な円売りの動きが出て、2024年は歴史的な円安になった年として記録に残るであろう。
この要因は、なんといっても円の超低金利が長く続いたことで、「お金は高い所に流れる」との原理でいえば、円安は必然の流れと言えるだろう。筆者の予想が大きく外れたが、筆者のみならず、市場参加者の多くが同じような気持ちになっているのではないだろうか。大きな要因は、日米の景気、金利が予想と大きく異なったからである。米国利下げ、日本利上げが、早い段階で動き出すと考えていたが、予想以上に米景気が底堅く、物価低下もゆっくりで、年初懸念された米国リセッション入りが起こらなかったことだ。金利差は縮小どころか、最近は拡大傾向にある。キャリー取引復活である。 加えて、日銀が利上げに非常に慎重だったことで、狩猟民族たる欧米の参加者には期待外れとなったことも挙げられる。失望の円売り加速につながった。
これらの事象が起こる源になるのが、まさに中央銀行の金融政策である。2023年がインフレと戦う利上げの年だったとすれば、2024年はインフレ収束に成功しつつある(但し決してインフレを完全に退治したとは言えない)ことで、利下げを開始した年となった。では2025年はどうか? 筆者の予想は、国ごとにファンダメンタルの違いが明白になり、一律に利下げしていくような状況にはなり得ないと考えている。世界景気として、ひとくくりにはできなくなる。欧州景気と米国景気は全く異なる方向に向かうのではないだろうか。新年に改めて取り上げていきたい。
そこで、2025年の年間相場予想は以下の通りとする。
ドル円は135.00-165.00円、年末145円、ユーロドルは0.9850-1.1850とパリティ(1ユーロ=1ドル)を割ると予想。そして英ポンドドルは1.1500-1.3500で、またドルインデックスは95.00-115.00と予想する。
「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」(虚子)。
これは年頭の言葉と言えるが、今の筆者の思いである。「変動要因は同じでも貫く中身は別次元」として備えたい。新年は1月2日から始まる。
今年1年、ご愛読いただきありがとうございました。
新年は1月8日から再開いたします。引き続きよろしくお願いいたします。
(2024/12/25、 小池正一郎)
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