FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第883回 市場のECB早期利下げ観測は少々行き過ぎ!?
外貨投資 転ばぬ先の智慧

最新の記事

第883回 市場のECB早期利下げ観測は少々行き過ぎ!?

2024年01月29日

 先週のドル/円は、23日と24日に一旦147円割れの水準まで下押す場面があったものの、その後は両日ともに買い戻しが優勢となり、148円台まで持ち直す動きとなった。それだけ、足元では米経済の底堅さを再評価するムードが色濃くなっている。
 既知の通り、先週24日に発表された1月の米PMI統計(購買担当者指数)は、米国の製造業・サービス業を合わせた総合PMIが7ヵ月ぶりの高水準となり、市場からは「FOMCが金利を『より高くより長く』維持する可能性が高まった」との声も聞かれた。
 また、25日に発表された10-12月期の米実質国内総生産(GDP・速報値)が前期比年率3.3%増の高成長となったこともあり、米利下げの早期開始に対するモチベーションは一頃よりも低下していると市場は受け止めている模様。米インフレ率の伸びは着実に鈍化しているものと思われるが、その結果として米株価が高止まりしていることもあり、なにも慌てて米利下げに踏み切る必要もないだろうといったムードが、今のところは拡がりやすくなっているのだろう。

 ドル/円が147円割れの水準を試す場面にあっては、一目均衡表(日足)の「雲」上限水準や「転換線」が当面の下値サポートとして意識されやすい。転換線については、昨年12月半ばから年明けまで上値抵抗として機能していたが、1月3日以降は同線が下値サポートとして機能しているとの感が強い。逆に言うと、今後は「この転換線が下向きに転じるかどうか」を慎重に見定めて行くことが肝要と思われる。
 また、足元でユーロ/ドルがやや軟調に推移していることもドル強気の流れを支えている。欧州中央銀行(ECB)は先週25日の理事会で3会合連続の政策金利据え置きを決めたが、理事会後の記者会見でラガルド総裁が放った幾つかのコメントが、市場の利下げ期待を高めることにつながっている。結果、短期金融市場ではECBの利下げ開始時期について「6月」を有力視する一方で、次第に「4月」との観測も強まってきている。一部では、ECB関係者の話として「3月に利下げ議論を開始する用意がある」との報道も伝わってはいた。

 ただ、目下の市場の織り込みは「行き過ぎ」と考える向きが少なくないことも事実。ラガルド氏は会見で「利下げはまだ議論されていない」と強調し、1月のダボス会議では「夏以降」の可能性に言及していた。同氏が重視している賃金データについては、欧州統計局が四半期ごとに発表する「労働コスト」が最も包括的であるとされ、その1―3月期のデータは6月中旬にようやく明らかとなる。
 今のところ、ユーロ/ドルは辛うじて200日移動平均線に下支えされており、週明け以降は一旦買い戻しが入る可能性があると見る向きも少なくない。ドル/円と同様、ユーロ/ドルも足元では日足の「転換線」が一つの節目として意識されやすくなっており、同線を上抜ける動きとなれば、一旦はリバウンドの動きが強まると見ておきたい。

 なお、日本では先週24日に経団連主催の「労使フォーラム」が開かれ、2024年の春季労使交渉が本格的に始まった。大企業を中心に高い賃上げの意向を早期に示すムードが強まっており、日々関連の報道が伝わるごとに日銀の出方に関する市場の関心も強まりやすくなろう。また、今週31日には日銀の「主な意見」が公表され、1月会合後に一時的にも強まった円買いの動きが蒸し返される可能性もないではない。
 また、なおも米・日株価がドル/円相場に及ぼす影響は大きい。先週末にかけて、日経平均株価はやや調整色を強め、注目の米フィラデルフィア半導体株(SOX)指数も下落した。株価が調整すると円の先物売りが巻き戻される可能性もあり、やはり個人的にはドル/円に戻り売りを仕掛けるタイミングを狙いたい。

(01/29 08:00)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産等取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第883回 市場のECB早期利下げ観測は少々行き過ぎ!?