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第422回 ~口先介入と渋滞理論~

2021年02月24日

 ドル円は、日に日に105円台固めに入ってきていた。昨日瞬間的に105円割れの場面があり、しばらく105円ばさみでもみ合っていたが、下がり切れないとみると105円ちょうどから離れ、NY市場から105円前半で帰ってきた。しかし東京市場では、思いがけない(筆者にとってだが)円安材料が飛び込んできた。これこそポリテカルエコノミーの真骨頂だ。

 久方ぶりに麻生砲がさく裂したからだ。筆者は通信社の報道で知ったが、それ以前に東京市場にはニュースが流れているはずだ。今後の円安を誘導するとも言える発言である。麻生財務相は、衆議院財務金融委員会で、国債発行が巨額になっている現状について、野党の質問に答えた。「国債・円の信認も消滅する懸念がある」と。これは口先介入と同じ、円安誘導だ!と感じた。

 筆者の経験では、海外市場はこの通貨当局者まさに本家本元の財務大臣の発言に飛びつきそうだ。ドル円上昇に弾みがつくだろう。原則、通貨当局者は通貨に関する発言はそれが目的になっている会議以外は避けることが不文律になっているはずだ。これまで通貨の方向性についての発言があったときは、何らかの意味を持っていることが多い。

 それは何か・・・。答弁には、もっと民間や家計で貯蓄過多を減少させ、投資や貯蓄を増やすことが必要。財政の黒字化議論だけでなく、日銀の量的緩和ももっと続けていかなければならない、との趣旨が透けて見える。来月には、日銀の政策決定会合で、これまでの政策に対する点検が発表になる。決して金融緩和を緩めてはならないと、ボールを日銀に預けたような形である。そう読めば、円安方向に舵を切るきっかけになる重要な発言であり、3月には108円を目指す展開を予想したい。

 ところで、先週述べた「渋滞理論」について解説したい。これは筆者が独自に編み出した相場予想法のひとつだが、現在の市場が置かれている状況を判断する方法である。渋滞理論とは、「相場は市場参加者の集団心理により形成されており、その動きは『道路渋滞の状況』と似ている」、との考え方が出発点である。渋滞には、「工事渋滞」「事故渋滞」「自然渋滞」の三つの大きな原因がある。

 まず「工事渋滞」。これは前もって工事の予定が分かっている状態のことで、為替市場で言えば、重要会議があるとか、注目経済指標が発表される時である。前もって渋滞対策が立てられるので、市場に対し見えない先を読み(アヘッド・オブ・ザ・カーブ、Ahead of the Curve)、シナリオを立てることができる。この場合の対処方法は、通常は発表前にポジションを縮め、工事完了、すなわちそのイベントの結果を見て、市場に入り直すことである。

 次に「事故渋滞」。これはいきなり来る。金融市場においては、多額の損失発表、大地震などの自然大災害、テロや政情不安などによる社会の混乱、また世界のリーダーなどのキーパースンの死亡などがこれに当てはまる。昨年の新型コロナショックもこの例だ。このとき大事なことは、まず事故に巻き込まれないことだ。「まず生き残ることが大切。儲けは二の次」との言葉もある。ドサクサにまぎれてうまいことをやろう、というのでなく、ポジションをできるだけ縮小することと心得よ、ということになる。

 そして、「自然渋滞」。これがもっともわかりにくい。市場で言えば、小動きに終始し、理由がわからず、渋滞でイライラするときに「渋滞の先頭はどうなっているのだろう」と思うことに似ている。「相場を動かしている真の要因は何だろう」と考える。経験的には、通貨当局の動向を察して行動を起こしている場合や、大手投資家が少しずつ買い集めている場合などがある。このケースでは、流れが見えてきたら、少しずつでも、その方向に乗っていく方法を取ることになる。

 この分析で言うと、これまで「自然渋滞」気味であったのが、まさにその原因が表に出てきた状態に他ならない。今後、相場の先行きが不透明だと感じたときにこの渋滞理論を当てはめて相場を読むのも、相場を楽しむきっかけになるかもしれない。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円はレンジが変わり105.20~107.00円を予想。ユーロは堅調推移で、対ドルで1.2080~1.2280、対円では128.00~130.00円と予想。一方、英ポンドは大台を超えたので、さらに堅調地合いが続き、1.4100~1.4400と予想する。

(2021/2/24, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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