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第310回 ~米国為替報告書に注意~

2018年10月10日

 円安進行は一休み中だ。114.55円(10/3)を付けたところでドルは一気に反落、日本が休日の月曜日(10/8)には112.80円割れ寸前までドルは売られた。この動きは先週予想した通りだが、問題はこの後。米国の中間選挙が残り1か月足らずとなったが、その前に来週注目される報告書が米財務省から発表される予定で、それを受けてドルは軟調に推移すると予想している。

まずは、ドル反落の背景だが、一週間前には、短期移動平均線(21日)との乖離幅が1.9%に近づき、前回の円安局面と相似形になっていたことが一つだ。前回の円安は7月17日に113円を超え、同乖離幅が1.9%になったところで、ドルは下落し、三日間で修正、移動平均線直前でドル安は止まった。今回も同じ動きになるだろうと読み、ドル安水準をはじいたが、まさにその通りの展開となった。現在の21日移動平均線は112.90円、まさにこの水準で下げ止まった。

この状態が、今週に入ってから3日間続いており、113円ばさみで膠着状態だ。しかし、チャート的には、翼の広い三角持ち合いで、そう遠くない将来に、どちらかにブレイクすると読んだ。筆者は、そのきっかけを、来週初めに予定されている米国の為替報告書と考えた。この報告書は、正式には、「主な貿易相手国の為替政策報告書(Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States)」で、年2回財務省が議会に報告している。

財務省が為替操作国と認定すると、その国は貿易制裁の対象となる。その三つの基準は、①対米貿易黒字が年200億ドル以上(米GDPの約1%)、②経常黒字がGDP比3%以上、③一方的継続的な介入(外貨購入)の年合計がGDP2%以上、である。

前回は今年4月13日に発表されたが、「為替操作国」はゼロであった。しかし監視リスト国として、三つの内二つに該当する国として、5か国(日本、ドイツ、韓国、スイスが連続、インドが新規対象)と、対米貿易黒字額(上記①)だけの該当であるが、金額が大幅な中国もいれて、6か国が認定された。

ただ、現在は中国元が下落しており、意識的に通貨安を容認しているとして、米国は中国を為替操作国として認定するのではないかという声が大きくなってきた。今日明らかになった、米ムニューシン財務長官のコメント(人民元引き下げに対し、中国に警告)も、認定方向に向かっているとの見方を強めている。

人民元は、現在1米ドル=6.9320元近辺で、6.9350を超えると2017年1月(6.9615)以来の人民元安となる。すでに元安は急激に進んでおり、7元を超えると約10年以上前の2008年5月以来の元安となる。そうなれば、操作国認定は決定的になるだろう。その為替報告書は、来週10月15日に予定されている。認定されれば、次は円安傾向にある日本に波及する懸念があり、一旦は円高場面が来ると考えておいた方がよいとみている。

そこで、今後2週間の相場レンジとしては、ドル円は調整が入り111.00円~114.00円、ユーロは、対ドルでは1.1300~1.1600、対円では128.50~131.50円と予想している。

(2018/10/10,小池正一郎)

*来週は、筆者の都合により休載し、次回は10月24日となります*

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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