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第326回 ~魚釣りとシミュレーション~

2019年02月20日

 「北北東に進路をとれ!」。ゆっくりであるがドル高進行である。チャートを見ると、1月3日の104円台を底値に、ドルの上昇は止まっていない。1月の第4週以外は、週間ベースですべて下値を切り上げている。この動きはいつまでも続かないと予想している。

 一方で、実感としては、「動かないなー」という一言だ。ディーラーとしては1銭でも動けば、「そんなことはない。しっかり相場変動はある」ということだろうが、長年市場を見ている筆者としては、実にフラストの溜まる相場展開である。といっても日足で見ると、動きは牛歩のごとく緩慢だが、相場の傾向は確実に出ていることも認めている。それは週足で確認した。月間ベースでも、1月は104.56円から110円に上昇、2月も108.72円から111.13円までとドルは続伸している、しっかりと動いているのである。

 何か変だ。実際の動きと相場感覚の不一致である。このような時に怖いのが、動かないのが当たり前になってしまい、行動が遅れがちになることだ。そこでそうならないために心がけていることがある。それが①魚釣りの心と、②たゆみないシミュレーションである。

 魚釣りの心とは、常に市場に参加していることである。すなわち、ウキを浮かべ魚が食いつく瞬間を見逃さない注意心を、常に持ち続けていることである。市場参加者への言葉として言えば、「どんな小さな金額でもいいが、常に市場に参加している(ポジションを持っておく)こと」になる。これが動きを察知するためには絶対必要なことと信じている。

 特に最近はアルゴリズム取引のように、刹那で取引チャンスが終了することが起こる。その場面は、常に相場を追いかけていなければ参加できないことだが、少なくとも、実際に何が起こっているかを肌感覚で感じることができるはずだ。その時に乗れなくても、その経験は、間違いなく次の場面で生きてくる。これが魚釣りの心である。

 次にシミュレーションについてだが、これは、筆者が以前米国の著名なディーラーから、ディーラーの素質として教えられたことだ。「取引に入る前に、必ず相場の動きについてシナリオを描き、売りか買いかを決め、利食いと損切の水準をきめること」であった。すなわち、変動要因となる材料、例えば、米中通商協議について、シミュレーションをする。当事者になったつもりで交渉の行方を想定、うまくいくと思えばドル買いから入り、一方決裂し、関税引き上げが即実行されると思えば、まずドルを売る。その時はすでに、出る(ポジションを閉じる)ときの方向と値段を決めておくことである。これは、1勝9敗でも勝てるディーラーになるための訓練となった。

 ところで、どの為替相場も動いていないというと、そうではない。今は欧州通貨、特にポンド、ユーロが主戦場だ。昨日はポンドが大きく動いた。通貨はドル円だけではない、動きのある通貨、すなわち獲物が見える場所に狙いを定めるという狩猟民族ディールに乗る、ということももう一つの大切な技に違いない。

 さて、今後1週間の予想レンジは、2月後半に大きな動きがあると予想し、今週は小動きと考え、ドル円は109.80~111.20円。ユーロは、対ドルでは1.1250~1.1400、対円では124.30~125.80円と予想している。
(2019/2/20,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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