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為替大観

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第402回 ~ドルと円とどっちが強い?~

2020年09月23日

この1週間、ドル円は約6月ぶりの水準まで低下したが、これはドルが売られたというより、円が買われたと言ってよい。現在為替市場では、一般的には一番強いのは円、次に米ドルという見方になっているが、しばらくこの力関係は続くと考えている。

8/27のFRBパウエル議長の講演(2%の物価上昇のターゲットは維持するが、一定期間の平均と考え、ある程度2%を上回っても容認する=引き締めに動かない)をきっかけに、市場では米国ゼロ金利の長期化が示唆された、としてドル売りが優勢になり、9/1にはドルインデックス(DX)は2年4か月ぶりの91.746まで売られた。その後ドルは買われ、DX
は、93.662まで買われて(9/9)、92台でもみ合った後、今日は94台まで上昇している。

一方、ドル円は、8/28に106.95円を付けた後、もみ合いを続けたが、9/10から7営業日連続して下落、21日には104円ちょうどまで売られ、3/12以来の安値となった。3円近くドルが売られた=円が買われたことになる。そこからドルは反発して3日続伸、現在は105円挟みとなっている。

この相場展開は、ドルが売られたのでなく、円が買われたことといえる。円高になった期間、DXでみるとドルは売られていない。円に対しては売られているが、ユーロやポンドに対してはドル高になっているからである。DXとは、Intercontinental Exchange 市場での取引されているドルの総合的な強さを示す指数のこと。混合通貨は、下記の通りだが、ユーロが一番大きい。ユーロが、57.6%に対し、円13.6%、英ポンド11.9%、カナダドル9.1%、スエーデンクローナ4.2%、スイスフラン3.6%である(ICE)。

ここまで円が買われた理由は、ドルでなく円を欲しい人が多いということだが、問題は保有期間である。リスクを回避するために一時的に円に疎開するのであれば、いずれ買戻しが起こる。しかし、これからはドルでなく、円で資産運用する、あるいは保管するということになれば長期保有となる。この場合は、円の安全性、収益性が保有する要因となるので、そう簡単に円売りが起こらない。

さて、そこで、どうだろう。米ドルは円に劣っているのだろうか。外為取引通貨、外貨準備の保有通貨、SDRの構成通貨、国際的決済通貨など、それぞれの割合を調べてみると、米ドルは圧倒的なシエアーを持っている。確かに、近年、徐々に割合は低下しているが、2位とは圧倒的な差がある。現在ドルの低下は、大幅は資金供給を背景に通貨量が増え、増資による株式価値の低下と同じだ、という考え方に習っている。この点は、今日明日に起こる問題ではないが、潜在的なドル下落の要因になっていることから、相場見通しにおいては忘れてはならない重要な視点である。今年は米大統領選挙もあり、コロナの収束もまだ見えない。不安定要因が多いので、今年中は短期中心の取引が続くと考えている。

さて、来週29日(火)には、米大統領候補同士の1回目(全3回)のテレビ討論会がある。最初が、1960年ケネディ(民主)対ニクソン(共和)だったが、それ以降幾度となく、勝敗を決める重要なイベントになった。なぜなら、最初のテレビ討論で、事前には、ニクソンが優勢であったが、選挙の結果はケネディの勝利。テレビ討論の戦い方がその要因と言われた。今回もテレビ司会者もやり、相手を打ち負かすことになれているトランプに対し、認知症の疑いもあると言われているバイデン候補が、どのようにトランプと戦うか、アメリカだけでなく、世界中に注目されている。

今後1週間の予想レンジは、ドル円は先週より若干の円強含みの104.50~106.00円。またユーロはコロナ拡大懸念で1.1550~1.1750、対円では前週の円高基調を引き継いで122.00~124.00円。英ポンド/ドルについては、ユーロと同様に1.2650-1.2950と予想する。
(2020/9/23, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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