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第373回 ~再緩和の先取りを始めたドル円~

2020年02月19日

新型コロナウイルスの日本での拡大を受けて、日本への見方が大きく変わってきた。引き金として日本の2019年第4四半期GDPが年率でマイナス6.3%となったこともある。今年第1四半期についても悲観的だ。合わせて黒田日銀総裁の再緩和に躊躇しない発言が現実味を帯びてきたとの見方が海外市場を中心に広がり、結果として日本株買い、円売りが進んだ。

この考え方は、筆者がフォローしている米国の市場関係者の言葉からも判断できる。日米の経済の違いに焦点を当て、米国投資家に向けて「日本の過去から学び、失敗を繰り返すな」とのメッセージであった(2/18)。今年は米大統領選挙、大方は米国経済は順調に推移しており、雇用は安定、個人消費も失速はないとの見方が、現在の株高を支えている。またFRBの緩和的な金融政策は続くとの市場予想も株高のサポート要因となっている。

さて、ドル円は一週間ぶりに取引時間中に110円を超え、111.36円まで買われ(午後7時30分現在)、大げさに聞こえるが、まるで糸が切れた凧のような急上昇だ。NY市場がこのまま終値で110円を超えたままだと約1か月前の1月20日以来の高値となる。そして、110.67円(昨年5月21日以来の高値)を超えると、次は111円台が視界に入る。

一方で、先週指摘したように、ドルインデックスの高値更新の勢いにも注意を要する。現在99.482と高値更新中、昨年10月1日(99.667)以来の高値である。そして円安が進んだ場合、ドルインデックスは100超えとなることも予想され、トランプ政権からドル高牽制が出てくる可能性も高い。ただ、2月4日に発表された商務省の通貨安相殺関税ルールの効力開始日は発表日の60日後(2か月後)の予定であり、同ルールに基づいた政策変更には時間がかかると予想される。しかしトランプ大統領は黙っていないであろう。

ただし、ドル高、株高はこれまでのトランプ氏の政策によるものであり、ドル高を否定することは、自分の経済政策を否定することにもなる。そのためけん制発言にはそのタイミングや理由にかなり難しい政策判断が求められる。そこで、理由として考えられるのが日本である。そのヒントになるのが、先の米国市場関係者の言葉にある。

象徴的な差を株式相場の変化率で説明している。日経平均は1989年の高値から現在は40%ダウンである(米国ダウ平均は、同期間で約10.5倍:筆者注)。この違いは、土地など資産のバブル破裂の結果が主なものであるが、米国は、その段階でない、との見解を示している。また一方で日本が低成長である理由として、マイナス金利、高税率、巨大な財政赤字、人口減を例に挙げている。ここに米国と大きな差(低税率、比較的低水準な政府債務、プラス圏を維持している金利、約50年ぶりの低失業率)があると指摘している。

ただ、個人的にはドルが上昇を続けるとは予想していない。トランプの口先介入が入ると予想しているからだ。そこで、今後1週間は、ドル円は、先週と同じく109.50~110.50円、ユーロは軟調が続き、対ドルで1.0750~1.0950、対円では118.00~120.00円、また英ポンド/ドルも先週と同じ、1.2900-1.3100と予想している。

(2020/2/19, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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