「米利上げ局面終了」との思惑はすでに台頭していたものの、先週は「米早期利下げ」を巡って揺れ動きました。
サプライズとなったのは、先月28日のウォラーFRB理事発言でした。
『インフレ低下に確信が持てれば、景気回復など無関係に政策金利引き下げが可能』
FRB内で“最もタカ派寄り”の一人とされる同氏のこの発言は、マーケットを一気に「米早期利下げ」へと傾斜させ、ドル円を“9/12以来水準(安値は146.664円)”へと突き落としました。
このため慌てたFRB関係者らは、“火消し”に走り回る必要に迫られました。
デイリー・サンフランシスコ連銀総裁は『現時点で利下げは全く考えていない』と述べ、ウィリアムズNY連銀総裁は『追加引き締めが必要になる場合もある』と発言したのはこのためです。
こうしてドル円は“148.518円”へと押し戻されましたが、週末にもう一つイベントが待っていました。
注目のパウエルFRB議長は『利下げを意識するのは時期尚早』とした一方で、『引き締め過ぎ/不足のバランスは一段と均衡』と発言しました。
いわゆる“好悪入り混じる”内容といえますが、マーケットはこれを“思ったほどタカ派寄りではない”と認識しました。
このため「米早期利下げ」は再び意識される格好となり、“146円台”へと押し戻されて先週の取引を終えるに至っています。
いわゆる“火消し失敗”といえる状況ですが、すでに「ブラックアウト期間入り」したことを考えれば、現在の「米早期利下げ観測」を押し戻すのは容易とはいえません。
また“日足・一目均衡表の雲下限(本日は147.611円)”を再び下回り、“100日移動平均線(同147.245円)”をも割り込んだという形状からは、テクニカル的には“いいところなし”といわざるを得ないのが実状でもあります。
それでも前記パウエル議長の“好悪入り混じる”ならず、キッカケのウォラーFRB理事発言にしても「利下げに向けたプロセス」を説明をしただけで、「利下げの可能性」については一切触れていない…。
そうなると「米早期利下げ」には傾斜しているものの、実際には“何ら変わっていない”と見るのが妥当なところ…?
“ストップロス”を絡めた動きと見られるだけに、“往きつくところまで”との思惑は拭えないところがあるのは事実です。
このため“もう一段”は想定(覚悟?)しておく必要がありますが、あくまで“目先”と考えたいところです。
そして“下値の堅さ”が意識され出すと、“応分以上のポジション調整”は入ってしかるべしとは見たいところです。
《12:55》
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