今週のハイライトは、今晩のFOMC、そして2月2日(金)の米雇用統計である。短期的には堅調な米景気を背景にドル買いの流れが比較的に強いが、ドル買いを進めていく決定的な確証は持ち合わせていないのが市場の空気である。
朝方は、前回(1月22-23日)の「日銀金融政策決定会合における主な意見」で、政策変更の確率を高める発言が多く出ていることを材料に発表直後は円が買われ、ドル円は一時147.20円割れまで下落した。しかし事前予想以上の成長を示した米4Q・GDPや、2年ぶりの高水準となった1月消費者信頼感指数など米景気の底堅さを背景にドル買いが優勢となり、ドル円はじりじりと値を上げ147.90円まで上昇した。
現在(18:15)は147.50円前後とドルは値を下げているが、今後は本日のFOMCの結果(発表は、日本時間で2月1日早朝)を待ち、利下げ時期の後ずれや、あるいはもう1回の利上げの可能性を示唆するようなタカ派的内容が出るかが、注目点となっている。タカ派発言の場合は、一気にドル買いに転じる可能性があり、ドル円は年初来高値148.80円(1/19)を第1の節目、超えれば150円を狙う勢いとなろう。しかし一方で利下げの方針が維持されれば、まずは146.50-147.50のドル軟調気配となり、2月2日の雇用統計を待つ、という展開となるだろう。
他にFOMCの注目点を整理してみる。今回はいわゆる通常会合であり、ドットチャートや経済見通しの発表はない。声明文とその後のパウエル議長の記者会見から、今後の方針すべてを読み取ることになる。第1は、今回の政策変更の有無である。市場予想は変更なしである。シカゴCME市場のフェッドウォッチ(1/31 NY午前2時現在)でも、据え置きの確率が97.9%と現状維持がほぼ確実となっている。
次に、利上げの開始時期と年末の金利予想である。同じくフェッドウォッチによれば、3月利下げ予想はほぼ半々(確率は据え置きが54%、0.25%の引き下げ45%と据え置きがやや優位)だが、5月は現状維持が11%に対し、0.25%引き下げ確率が52%、0.50%の利下げ確率も36%あり、5月の0.25%利下げ見通しは確実の予想となっている。
そして、合わせて注目される年末のFF予想だが、前回12月のドットチャートでは、4.50-4.75%の見通しとなっていた。フェッドウォッチでは、4.00%が中心となっている。
このように、市場が利下げに前のめりになっていることに対し、パウエル議長が早期利下げを牽制するか、そのうえでFRBが、どの項目を懸念しているか、どの変化が金利政策の判断に影響するか、発言に注目したい。
次に雇用統計であるが、ヘッドラインの市場予想は、非農業部門雇用者数は+17万人(前月+21.6万人)、失業率は3.8%(前月3.7%)と、前月より雇用環境の小幅悪化となっている。さらに今月は別の重要な点がある。それは雇用者数の産業別内訳増減数である。このヘッドラインの雇用者数から、政府及び政府から補助を受けている項目(病院、教育、観光)を除くと、2023年6月以降の月平均増加数はわずか0.3万人、これはリセッション前の弱い数字と言われる。今月はここにも注目したい。
さて、今後1週間の相場予想だが、ドル円はレンジとしては145.50-148.50円を維持するが円高方向にシフトしていくと予想する。ユーロドルは1.0750-1.0950と先週と変わらず。また対円では158.00-161.00円と小幅ユーロ安と予想。そして英ポンドドルは先週と同じ1.2550-1.2850と予想する。
(2024/1/31、 小池正一郎)